語り部 2021-02-01 00:27:15 |
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>ソフィア
──それもダメ。ボクのキョウダイたちはね、優しくないんだ
(無邪気で明るくて穢れがなくて、キョウダイたちも好んで食べようとはしないだろうがこの場に置いておくにはあまりに勿体ない小さな人。駄々をこねるように尋ねられた言葉にまた困ったように表情を歪めたまま小さく首を振って…森の奥まで入り込んでくるのは行き場のない人間ばかり、消えたところで誰も困らない人だけ、故に──この少女もそうなのだと分かっていて、この場に残しておきたくはない)
>レヴィ
(肩で息をする──頬に飛んだ血と足に纏わりつく赤と服から地面へと落ちていく液体全部が己を人間でないと示すようで、否最初から人間にはなれないことなど分かっていたけれど。
目の前で銀色に光った調理器具が、本当に人間が調理をする時のように肉の塊を切り裂いて飛び出した赤が足元に斑点を残す。これは己が狩りをした正当な報酬で、やっていることは人間が鳥を銃で撃ち落とす行為と同じであって──でもこの赤と同じものが己の中には半分も流れている。ボクは、立場が違えば狩られる側だったのだと。そう分かっていて、このキョウダイの言葉に甘えてしまえば今だけは楽になれる…ボクは逃げたい、今この一時だけでもキョウダイたちと同じ立場になってしまえばボクは…ふらつく足で数歩進んで、ぴしゃっと血を跳ねさせてその場に座り込む。
顔の形は原型を留めていない、痛みを感じ取ることすら出来ない、化け物みたいなボクでもキョウダイは認めてくれるのだろうか──牙が短い己は上手く噛みつけないから、叫び声もあげられなかった可哀想な口から溢れ続ける血を求めるように冷たい唇に真っ赤な唇を寄せて、空腹のせいかキョウダイの血で最初から脳髄が溶け切っているのか全部が美味しくて仕方ない)
っ、ごめ、ん、ぅ──好き。キミの血、すき、美味しい、美味しいよ、すき、好き…
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