XXX 2021-01-31 22:50:25 |
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>夏目 白
(“お願いね”と、とびきりのウインクを投げて寄越した魔女の笑顔を思い出すだけで、込み上げる苛立ちが鱗を逆立たせる。そもそも今日は機嫌が悪い、起き抜けにあの忌々しい双子と出会す羽目になったからだ。いつものくだらない悪戯ならば無視出来たものを、今朝は『バジリスクは怒りんぼ』なんて歌で揶揄しに掛かってきたものだから力一杯尾を振って薙ぎ払ってやった。何にせよ、どう甘く見積もっても案内役には不向きな自分を向かわせる館の意思に、不平不満は泉の如く湧き出てくるが何人も逆らわず、逆らえない。「厄日だわ」行き場の無い苛立ちを燃料にして向かった玄関ホールの扉を開け放つと、すん、と小さく鼻を動かした。この館の者ではない匂いがする。まだ消えていない、つい先程まで彼女が纏っていた”生の匂い“がそこにあるのを感じる。今し方到着したばかりの彼女を見遣り、その顔色も仕草も何一つ判断材料にすることなくしゅるりしゅるりと這い寄ると「何ぼうっと突っ立ってんのよ、最初に一度だけ教えてあげるからよくお聞き。アタシは愚図と間抜けが嫌いよ。アンタのおつむがまだ駄目になってないのなら、肝に銘じておくことね。」巨大なとぐろを巻きながら見下ろす少女の姿、よもやこれから先見知らぬ場所で見知らぬ存在と奇妙な暮らしを強いられるとは思いもしないはずの彼女へ「返事は?」ぶっきらぼうにそう畳み掛けて)
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