携帯恋話　／　〆　

　　　志磨　茜


　真面目なんだね。　だいたいはそうかな、結構余裕持ってたいタイプでさ。やたら早起きしちゃったりね。　（　　彼女の紡がれる言葉はとても丁寧だ。目線は合わずとも、気持ちの伝わる声色に少し落ち着きを覚える。日直の仕事を律儀に熟す姿にやや可愛らしさを感じ、此方をみていないことをいいことに、自分はまじまじと彼女へ視線を向ける。彼女の発言に一言返せば、次は自分にきた質問を答えていく。顎に手を当て、宙を見るようにして普段の自分の生活を振り返りながら話していけば、笑みを浮かべて楽しげに。時計を見れば全然余裕ある行動に自分自身笑えてくる。次は、とばかりに机へ身を任せて楽な姿勢で座り込めば、再び彼女を下から見上げるようにして　　）　　他に聞きたいことはある？今なら何でも答えちゃうよ。交友関係から、僕の変わった趣味まで、なーんでも！



　　　　瀬戸　晃


　自分は何の被害もないので大丈夫です！　（　　相手の気を遣った発言に対して、全く気遣いと受け取らずに素直に答える。これも、ポンコツと言われる所以だろう。親指を突き出すようにしてグッドサインまで付ける。その次の発言に此方はがんがんに目を見開いて相手を捉える。まさか、憧れていて、大好きな先輩に　お茶でも　なんて言われれば、そりゃ都合のいい幻聴と思ってもしょうがないだろう。数秒ほど固まったまま動くことなく、金魚のように口だけをパクパクとさせる。それが、真実であると理解すれば勢いよく首を縦に振り、照れていることを悟られないよう俯く。心臓が強く脈打ちながらも、必死に振り絞った声で返答すれば、そそくさと準備を始めてものの５秒で帰宅体勢は万全となり　　）　　行きます！行きます！　ちょ、ちょっと待ってください。終わりにします！　




　　（　　／　　遅くなってしまい申し訳ありません。　　）