フラジール ／ 〆

　
　
試してみる？ 無理だったら直ぐに離すから。 …手握っていい？
（いつもならこの辺で引くはずなのに自然とそんな言葉が口から出て。再び手を差し出してみれば様子伺ってみて。一緒に寝るのがさも確定の様に語られると全力で否定して。そんな欲を起こさないとはいえその一線を守る良識はあり、いつもの口調で強引に話纏めようとして）
いやいや、俺はソファで寝るよ？俺は何処でも眠れるから。俺のベット寝心地悪いかもしれないけど我慢してね
　
　

うん……慣れる為にも手を握ってみたいので隼人さんお願い。
（慣れる為にもと自身へ言い聞かせながらゆっくりと再び手を差し出し。勘違いだけでも恥ずかしいのだが、全力で否定されてしまうとそれはそれで気にしてしまい内心もやもやとし。何故もやもやしてしまったのか理解できておらず、解明する為にじっと彼を見詰めて）
そう、だよね。…勝手に勘違いしてしまってごめん。寝心地については気にしていないから平気だよ？私が隼人さんのベッド占領してしまってごめん。

　
　
じゃあ、握るよ？
（許可も取れればゆっくりと手を伸ばし自分よりも幾らか小さな相手の手に優しく触れ、そっと握ってみては様子窺って。謝罪されるとこちらが悪い事をしたような気がして少し罪悪感覚えるも簡単には話流して。寝心地についても問題はないらしい事に安堵するも普段寝ている時の事思い出せば少し言いづらそうに視線揺らしてから問いかけて）
謝らなくてもいいけどさ、なら良かった。…あー、あと真っ暗とか無音じゃないと寝れないタイプだったりする？
　
　

握手っていいものなんだね。隼人さんの手、おっきくて指が長いという事が知れたし。
（触ると事前に言われても最初はやはり緊張してしまい、瞼を軽く閉じて握られるのを待ち。母親以外に、異性から手を握られる行為は初めてだったのでゆっくり瞼開くと深い意味はなく好奇心から軽く指を絡ませてみて。電気をつけっぱなしでも寝落ちしてしまう時がある為電気や音は特に気にならないのか首を左右に振り、泊まらせてくれたお礼と称し朝食を作ろうと考えており）
ううん、電気やテレビつけっぱなしでも眠れるから大丈夫だよ。お泊まりさせてくれたお礼に朝食つくらせてほしいのだけど、メニューは何がいいかな？

　
　
…大丈夫そうだね。 そういう事言われると何か恥ずかしいんだけど、…あったか。
（瞼閉じた相手の様子見ているも特に拒否反応なども無さそうだ安堵の息をつき、指を絡めながら観察結果みたいなとこ言われるの妙に恥ずかしく感想零して。検証は済んでいるがこのまま手放すのも勿体ないような名残惜しい様な欲に襲われこちらからも指を更に絡ませて握り閉めれば共有する体温に目細めて笑い。普段の睡眠環境でも大丈夫と聞けば簡単に理由明かして。朝食を有難く頂くことにするも特に思いつかずに相手に丸投げして）
良かった、俺真っ暗じゃ寝れなくてさ。 え、やったー。 ん…美織のおすすめが良いな
　
　

隼人さんが恥ずかしがるのは珍しい。
（直ぐに指を離されると身構えていたのだが離れてしまうどころか、握り返してきたのでこういう時はどうしたらよいのか悩み。取り敢えず絡ませる指はそのままで体温に心地良さ感じてしまい。彼女は何を根拠に言っているのかわからないが幼少期に飼っていた猫が思い出され彼と姿を重ねてしまい、空いている手で髪へ伸ばすと無意識に可愛いと呟き優しい手付きで髪を撫でており。だが直ぐに我へ帰ると慌てて手を引っ込ませ、気にする程ではないが初めて呼び捨てで名前を呼ばれた事に対し偶然だと考えつつ話題変えようとし）
隼人さんって猫みたい。幼い頃に飼っていた猫に似ているから可愛い……って勝手に触ってごめん。朝食は和食にするね。それから入浴した後の着替えはどうしよう。制服をずっと着ていると皺になってしまうし、隼人さんの服を借りてもいいかな？

　
　
俺だって人間だよ。 猫か、たまに言われるなそれ。 俺は別に苦手意識とかないから好きに触っていいよ、なんて
（確かに楽しそうな感情以外を表に出すのは珍しいだろうか。自然体のまま居れるこの空間に段々のめり込んでいるような気がするも抜ける勇気もてずに言葉告げて。たまに言われることのある例えに感想告げつつも髪を撫でられるとビックリしたように目見開くも心地好いもので、直ぐに離れていった手に遠回しにまたして欲しいと口にして。朝食了承しては服についても貸す分は問題ないが所謂彼シャツの様な状態になりそうだと呟き）
　
　

　

了解。あー、俺のだと大きいけど大丈夫？ …ますますそういう趣味のある人に見えそうたけど。
　

まだ私が小学生の時、お父さんに頭撫でてもらうのが大好きだったんだ……男性恐怖症を治さないと社会人として働きにくいよね。周りに迷惑かけたくないから克服するために先ずは、お兄ちゃんとして隼人さんに接して男性に慣れてみようと思う。
（感じた事のない不思議な感覚は消える事がなく、彼の髪に触れたり指を絡ませて手を繋ぐ行為には心がポカポカと温かさを感じ。社会人になる迄に男性恐怖症を克服しようと決めてはとある提案し。再び髪を撫でようとして近付くとお互いの太腿が軽くあたる程に至近距離となり、おずおず手を伸ばし優しい手付きで髪へ何度も触れて。彼シャツという初めて聞いた言葉が気になるのか首傾げ、密かに興味を示しては意味訊ねようと無意識に上目遣いとなり）
小さいよりかは大きい方が安心するから平気だよ。あの……彼シャツってどういうシャツ？ 今はそういうシャツが流行っているのか。…まだまだ知らない事だらけだな。

　
　
女の子だけの職場ならともかくね。 分かった、じゃあ俺が頭撫でてみていい？
（仕方がない事情とはいえ、世間が全て許容してくれる程優しくなく相手の試みには賛成示して。太腿が当たるほど至近距離で髪を撫でられると安心すると共に別の欲も湧いてきそうで其れを誤魔化すように瞼閉じて暫く大人しく受け入れて。相手の話を聞けば少し興味持って瞼開けて此方からも撫でてみたいと希望口にして。彼シャツについて聞かれると少し気まずそうに答えるも顔の整った彼女からの無垢な上目遣いはその気がなくても変な欲掻き立てられてしまいそうで繋いでた手解いて相手の目ごと手で隠してしまい）
何と言うか…彼氏の服を彼女に着せたらブカブカで可愛い…みたいな奴。 あとそういうの駄目
　
　

うん……お兄ちゃんに頭を撫でてもらうのはどんな感じか知りたいから撫でてもらいたい。
（恐怖症を克服するためにもという建前で撫でてもらいたいと頷き、心の準備もあってか再び瞼は閉じられて。頭では撫でられるつもりでいたのだが急に掌で視界を遮断されてしまうと何が起こったのか理解できずに一瞬驚き、きょろきょろさせながら彼シャツについて意味がわかるとクラスの女子が話していた事を思い出し。何となく彼シャツの意味は理解できたのだが最後に呟かれた言葉の意味が理解できずに首傾げ、視界が遮られているので感覚が把握できず顔を近付けてしまい）
彼シャツってそういう意味だったんだ。私が着たらロングワンピースになったりして──っ！？……隼人、さん？

　
　
…、ビックリした？ じゃあ触るよ、
（視界塞いで此方を見てないこと確認すれば小さく息を吐く。少し情緒落ち着けばいつもの笑みを浮かべる練習をしてから手を離して解放し、そのまま恐る恐るといったように頭に触れて指で前髪なぞるように撫でて。相槌打ちながらも髪で弄び、相手が何が言いたいか何とかなく分かる物の気付かないふりして尋ねて）
美織ちゃん、ちっちゃいもんね。何？
　
　

急にされたからびっくりしたよ。…こういうのが妹を揶揄う兄、なのかな。
（視界を遮られた事を悪戯だと思っており、兄が妹へ揶揄う感覚はこんな感じなのだろうかと考えながら頷き、触られるのを待ち。髪に触れられる事よりも視界を遮られた事の方が驚かされてドキドキさせられたようで、改まって聞かれるとどう話したらよいか迷いつつもゆっくり口を開いて）
あのね、隼人さんって……私に見られるの苦手？

　
　
かもね、これからもこういう悪戯しちゃおうかな。
（どうやら誤魔化されてくれたようでそれっぽい事を告げながらも事前宣告しておけば頭を撫でるのはセーフだと学んで。くすくすと弧をかく口元で似たような事をする布石を打っておき。苦手かと聞かれたら答えはノーだが、純粋な信頼が見え隠れする無垢な視線は擽ったいというかどうしていいか分からなくなるのも事実で前髪そっと掬いあげて顔観察するように覗き込みながらも素直な感想述べて）
そんな事無いよ。たまに眩しいとは思うけれど
　
　

お兄ちゃんから悪戯されるならいいかも……兄妹だし。
（克服や異性に慣れる為には積み重ねが大切だと思いゆっくり頷いて。前髪触られて覗き込まれては再び不思議な感じた事のない感覚の意味を考えながら見上げると視線が重なり合い、鞄から突然電話の着信音に我に返ると直ぐにスマホを取り出して確認し。母親からの着信にソファから立ち上がると「ちょっと電話してきます」彼へ伝えてから部屋を出て。母親は仕事から帰宅してからの通話で彼に迷惑かけないようにという内容で。遅い時間という事もあり通話時間は数分で終わり、部屋へ戻るとスマホを鞄へしまってからソファへ再び腰掛けて）
…隼人さん戻りました。時間も時間なのでお風呂はどうしますか？

　
　
お、言ったね？ また気が抜けた時にでもやろっか。はーい。
（証言をとったとばかりに口角あげてニヤケれば犯行予告しながらも見つめ合い。そんな空間を咎めるように着信音鳴れば素に戻って手をひらひらしながら送り出し。ふと1人になれば自分がやっていた事や自らに渦巻く感情が襲ってきて背中をソファに預け天井見ながら「あー…」と意味の無い声上げて一人反省会みたいなの行い。そんなことしていれば相手が帰ってきて元の体勢戻り平然装って、風呂に関しては相手優先にして）
…おかえり、先入っていいよ。
　
　

先にいいの？…ありがとう。じゃあ、お湯はりしてくるから服を借りてもいいかな？
（住人の彼よりも先に入浴するのは一瞬躊躇うも、甘えることにし。入浴となれば着替えが必要になる為改めて言葉に表し、同じ間取りであるので浴室の場所はわかるのか早速お湯はりしに浴室へと移動して。軽く掃除してからボタンを押し、お湯はりが始まると湯が溜まるまでソファでまったりしようとする姿は他人の部屋なのだがまるで自宅の様に寛いでおり）
隼人さんってさ、もしかしてだけど暗闇とか暗い場所が苦手だったりする？

　
　
準備しておくよ。
（改めてお願いされると軽く返してクローゼット漁りスウェットとジャージ準備してテーブルの上に置き。帰ってきた相手が再び隣に並び寛いでいるところを見れば随分と気を許してくれているような錯覚陥り。ふと自分のトラウマをピンポイントで指摘されると肩ぴく、と跳ねてイエスともノーとも言わずに根拠尋ねて）
っ、…どうしてそう思ったの？
　
　

着替えありがとう。……眠る時に電気消さない事を知り、暗闇が苦手なのかなって。何となくなんだけどね。
（暗闇と呟いてからの反応から何となく察すると苦手やトラウマは相手からしたらそうでもない事でも、本人にとっては恐怖である為言葉を選びつつ思った理由を説明し）
雷が苦手だったり、私にも人に言えないトラウマはあるからこれ以上詮索しない。もしも暗闇がトラウマだったらごめん……怒ったよね？

　
　
こういうので良かった？
（女の子の服の好みなど分からず比較的どちらでも着れそうなシンプルな物を選んだがサイズなども違い確認するように問いかけ。理由説明されると彼女の前ということもあり油断していたのか取り繕い忘れた事に声洩らすも納得したように頷き。人に弱点晒すのに躊躇するのか比較的小さな声でぽつり零して。最後の一言にはキョトンとして、ヘラり笑いながら告げて）
あー…、ちょっと不自然だったもんね。 まあ、うん、苦手というか色々思い出す事があるから。 なんで怒るの、美織ちゃん何もしてないじゃん。
　
　

うん、ジャージは着やすくて好きだから。…あ、隼人さんの香りがする。当たり前だけど。私、この香り好きだな…。
（洗剤や柔軟剤の香りかそれとも彼の香りかわからないが、好きな香りだったのかほわほわとした温かな感覚に思わず喋ってしまい。トラウマに触れられて普通なら嫌な筈なので怒られる覚悟をしていたのだが、怒るどころか笑う姿を見て心の何処で安堵してしまい）
他人から触れてほしくない事に触れられたら、嫌な気持ちになるだろうし……隼人さんが気にしていないならいいのだけど。

　
　
なら良かった。 …っ、じゃあ今日はぐっすり寝ること、オッケー？
（特に問題なさそうなら安心するも自分の匂いがすると言われ更にそれが好きと言われるとドクンと胸跳ねるも気の所為だと自分に言い聞かせて。「触るよ」とだけ告げてぽんぽんと頭撫でればそう促して。話題に出されて露骨に反応する程この傷との付き合いも短くなく平気という態度を全面に出して話して。少し大袈裟にその時の症状口にしつつも笑い話の様に語って）
うーん、そうかな。からかったりするのが目的じゃないなら特に気にならないけど。まぁそういうことだから停電とかで真っ暗になった時に突然吐いても許してね
　
　

わかった。…寝心地良すぎて寝相悪かったらごめんね。
（事前に言ってもらえれば触られる行為に少しずつ慣れてきたのか、心は落ちついており撫でられると目を細め。トラウマに対する症状を聞くと吐いたりはしないが症状が出てしまうのは同じなので過剰に心配してしまい、両手で彼の両手包むように優しく握り。上目遣いで心配そうに表情歪ませてはゆっくりと喋り）
隼人さん……無理しないでね。トラウマの辛さは私も知っているから、無理して笑わなくてもいいよ。私にはお母さんがいるから辛くなったら相談できるけど、隼人さんは相談できる人いる？私じゃ頼りないかもしれないけど……何かあったら言ってね。私も隼人さんに相談しちゃうかもしれないから。

　
　
その辺は気にしないから大丈夫。寧ろ見てみたいような気もするし。
（目を細めて撫でられる相手が可愛らしく思えばそのまま撫で続けて。束の間の幸福とは分かっていても手放せないでいて。両手包み込まれると少しビックリするも習慣となった笑みは変わらないままで、異性が苦手なのに彼女の方から触れられたことも自分のことで表情歪められるのも新鮮で心地よく感じて手握り返し。御礼伝えつつも彼女見下ろして見つめ）
これはもう癖みたいな物だからさ…、なんで美織ちゃんの方がそんな顔してんの。 …でもありがと。こうして話してるだけでも俺は救われてるから。
　
　

見てもきっと面白くないよ？寝顔も恥ずかしいから……見ないで。
（自身でも驚くも程に頭を撫でられたり触れられる行為に慣れ、彼が相手だから不快感はないのかと考え。寝相や寝顔など無防備な姿を見られるのは恥ずかしいのか見ないで欲しいと小声で訴えかけ。握り返してくる手に安心感を感じると救われているなど彼の発言にほっと安堵し、そろそろお湯が溜まっであろうと考えてはゆっくり手を離し着替えを持って浴室へ）
本当に？救われているならよかった。……そろそろお湯がたまったと思うから先に入らせてもらうね。

　
　
うーん、善処はするよ。
（小声で訴えられると少し悩むフリをしてから前向きな態度だけ示して。好奇心に負けて見てしまいそうな予感すれば断言はしないで傍から見ては不味い様な言葉喋り。自らの発言に安堵してる相手の優しさに浸りながらも素直に風呂へ見送って。）
だからそれで十分。オッケー、行ってらっしゃい。のんびり入ってきていいよ
　
　

打算的でも隼人さんは優しいのになんで彼女作らないのだろう……謎だ。
（髪や身体を洗った後、ゆっくり湯船に浸かりつつ天井を見上げながら疑問に思っていた事を呟いて。のんびりと言われたが先に入らせて貰っている身で長湯は駄目だと考えつつも温かさに負けて中々あがれずにおり）
隼人さんの香りのするベッドで眠るんだよね……眠れるか心配になってきた。

　
　
……、人と仲良くなったら駄目なのに癖になりそうなんだけど、…依存したくなる。
（相手を見送って水音聞こえてくればソファに背中を預けてぽつりぽつり独り言吐いて。気持ち落ち着かせる為にタバコに火をつけ煙吐き出しながらもぐるぐると思考巡らせ。目を閉じて髪撫でられる感覚思い出したりしながらも1本吸い終わると食器洗って片付け始め。それでも尚上がってこなければ少し心配になり、扉の外から声を掛けて）
…生きてる？
　
　

隼人さん、いいところに来てくれました。バスタオルを借りてもいいかな？場所がわからなかったので来てくれて助かったよ。
（あがろうとしたその時扉の外から声がするとそのタイミングの良さに安心し、浴室の扉開け顔だけ少し出してはバスタオルを借りようと声掛けては長湯だった事を謝罪し）
もしかして心配させるほど長湯だった？……ごめんね。

　
　
ああ、バスタオルね。 これ使って
（浴室の扉開くと少し驚くも置き場からバスタオル1枚取って顔背けながら差し出して。とりあえず無事ではあるらしい。安心すれば笑みを向けつつも気にしてないと告げて。そのまま立ち去ればソファでスマホ触って待ち）
いやいや、気にしないで。 ごゆっくり
　
　

隼人さんありがとう。
（彼が立ち去る前にお礼を告げてから早速バスタオルで髪を軽く拭いてから身体を吹き、ジャージに着替え。脱衣場にあったドライヤーを借りて髪をしっかり乾かしてからリビングへ戻り、挨拶した後ソファへ腰掛けて）
ただいま、お風呂先にありがとう。おかげさまでゆっくり温まれたよ。隼人さんすぐに入る？

　
　
おかえり。そうだね、さくっと入ってこようか。のんびりしてていいよ、眠かったら先に寝てもいいし
（戻ってきた彼女に視線向ければ挨拶返して。入浴促されると軽く頷いてから着替え準備したりしながらも寛いでくれと声を掛けて。準備が終われば最期に冗談告げてから風呂場に向かい）
…覗かないでね？
　
　

わかった、ありがとう。…隼人さん覗かれたかったのかな？
（挨拶して見送るとハンガーへセーラー服をかけてからベッドへ潜り込み、ぼんやりと天井見上げつつ本気で覗いたりはしないが先程の冗談について考えていると何時の間にか瞼閉じられて）
おやすみなさい……隼人さん。

　
　
ただいまって、寝ちゃったか。…おやすみ。
（風呂から上がり濡れた髪のまま戻ってくれば既に眠ってしまった様で寝顔覗き込みながらもぽつりと呟き零して。戯れに恐る恐る頭撫でて言葉零せばテレビの音量を少しだけ下げてから離れ。傍から見れば異様な光景楽しんでいる自分もいて、口元緩めながらもスマホ触るなどして眠くなるまで時間潰し）
　
　

やだ…ごめんなさい、許して……ッ！
（父親から虐待を受けている夢を見ているのか苦しそうに表情歪め、無意識に両手は自身の身体へと伸び上半身を隠す様に身を守る体勢へ。瞼へ軽く涙を溜めながら寝言を言って）

　
　
っ…、大丈夫、大丈夫だから。
（呻き声のようなものを聞けば慌ててベットの元に駆け寄り。悪夢で魘されていることが分かれば急に起こしてパニック状態にするよりもこのまま落ち着かせようと声掛けて。夢の中の感覚を上書きしようと彼女の手を取り軽く握って様子確認して）
　
　

怖かった……このまま一緒に寝たい、離れたらまた怖い夢見ちゃいそう……
（手を握られるとまだ夢うつつで母親に手を握られていると思い込んでは徐々に呼吸は落ち着き、母親だと思い込んでいる所為か甘える様に強く抱き締め離れようとせず小声で呟き）

　
　
…っ、それは…、分かった。一緒に寝よっか。
（徐々に呼吸落ち着いてくれば安堵の息を零すも抱きしめられると流石に動揺の色見せて。だが小声で縋るように言われると突き放す事なんか出来ずに寝かし付けるまでならと理由づけて了承して。相手を刺激しないようにベットの端っこに寝転がって）
　
　

…うん、ありがとう。
（ベッドで一緒に眠れる安心感からすぐに瞼は閉じらるも夢の所為もありまだ眠る事はできずにおり。抱き枕のように優しく抱きついたまま至近距離で感じるその香りに安心すると軽くうとうと、寝言で名前呟き）
隼人さん、離れないで……。

　
　
…、美織ちゃんのせいだからね。…おやすみ。
（抱きしめられたまま瞼閉じられると逃がしてはくれないらしく、諦めに近い溜息零せば後ろ手に髪を優しく撫でて。世間体や色々気にしないと行けないことは山積みのような気もするが抱きしめる相手の体温が心地良ければ子供っぽく相手のせいにしてしまい、呟き零して。誘われた睡魔のまま瞼閉じればうとうとと意識飛ばしつつも本能のままに相手の腰に手を回し此方に引き寄せて腕に納めてしまってから眠りに落ちて）
　
　

……あ、れ？
（カーテンの隙間から差し込む朝陽にて自然に目が覚めるとまだ頭がぼんやりとしているのか泊まった事を思い出せず、時間を確認するとまだ起きるには早い時間だったのか擦り寄せるように抱き締め直し。再び眠ろうとする前に彼の寝顔を見てから瞼を閉じて）
隼人さんの寝顔可愛いな。

　
　
……んん…っ！ …寝ちゃってたか。
（朝になり自然と目が覚め小さな声を上げながら瞼を開けるも至近距離にある相手の顔に驚いて声を上げそうになるもすんでのところで抑えて。直ぐに昨日のことを思い出せば落ち着いてきて何も疚しいことはしてない事に安心するもまだ眠ったままの寝顔みながらぽつりと零し。起きようとするも抱きしめられた状態では難しそうで暫しその状態でいて）
　
　

……おはよう、隼人さん。
（再びゆっくりと瞼が開かれ抱き締めている事に気付くと慌てる素振りは見せず、不思議と母親と眠っていた様な安心感があり。寝起きでまだ頭はぼんやりとしているが抱き締めながら見上げると、初めて彼へふにゃっとした柔らかな笑顔を見せ）
安心して二度寝しちゃった。…隼人さんの寝顔可愛かったよ？

　
　
おはよ。忘れて、朝まで寝るつもり無かったのに美織ちゃんが離してくれなかったじゃん。
（相手が目を覚ませば視線合わせつつも優しく髪を撫でて小さく笑ってみせ。寝顔指摘されると照れくさそうに視線逸らすも拗ねたように言い訳重ねるも柔らかな笑みを見ればどきっと目を奪われそうになり、そのままの体勢で問いかけ飛ばし）
ちゃんと寝れた？
　
　

ご、ごめんなさい……隼人さんの体温が心地良くて離せなかったのかも。
（拗ねたような声色と発言に素早く謝ると体温心地が良いのは本音らしく、恥ずかしそうに理由を話して。変わらずに見上げる視線は柔らかみがありいつもより熟睡できたのかゆっくり頷いて。学校もあり朝食をつくらなくてならない、これ以上甘えては駄目だと内心言い聞かせるとゆっくり離れベッドから起き上がり）
いつもより熟睡できたよ。隼人さんが隣にいてくれたからかな？そろそろ制服に着替えて朝ごはんつくらないと遅刻しちゃうから、またキッチン借りるね。

　
　
美織ちゃんの抱き枕にされちゃった。
（クスクスと笑って冗談零しつつも悪くは無いと言った反応示して。ベットから起き上がって離れていく相手を名残惜しいとも思うが素直に手放して自分も起き上がれば軽く伸びをしながらも朝食お願いして）
なら良かった。うん、じゃあお願いしてもいい？

　
　

抱き枕……もう一度味わいたいな。
（ハッキリ言われると抱き枕にする様に抱き締めていた光景がフラッシュバックされ、恥ずかしいと感じて耳朶迄ほんのり紅潮し。打ち消すようにトイレで制服に着替えると綺麗に畳んでリビングのテーブルへ置き。それから素早く朝食つくりに専念し、完成してテーブルへ食器並べつつ着替えを借りた事を改めてお礼しては完成した事を告げ）
隼人さん、ジャージありがとう。朝食できたけどすぐに食べられる？

　
　
どういたしまして。 じゃあ頂いてもいい？
（顔を真っ赤に染める様子が可愛らしいと思いつつも着替えて台所に向かう相手見届け。自らも着替えて準備しながらも声が掛かれば食卓につき。朝食を食べる習慣はあまりなかったが並べられた食事の匂いに食欲をそそられ自然な笑みが零れ。相手も食卓につくの待ちながらも思ったことがつい口から出て）
……彼女がいたらこんな感じなのかな。
　
　

うん、どうぞ召し上がれ。
（続け様に椅子へ腰掛けて両手合わせ食べようとしたその時、“彼女”というワードに反応示すも彼氏がいた事がない為想像しながら呟くように喋り）
私も彼氏がいたことないからわかないけど、同棲している恋人同士ってこれが当たり前なのかな。一緒に食卓を囲んで美味しいって言って食事したり、ベッドで一緒に眠るの。隼人さんとこうやって食事するの私は好きだよ。……誰かと食事するのっていいね。

　
　
ん、美味しい。 美織ちゃんって料理上手だね
（手を合わせれば食事を口にするも感想零しながらも料理の腕を褒めて。恋人のイメージ的にはその通りだと頷き、今まで一人で過ごしていたが相手と過した昨日の1日も充実したもので悪くはなかったと小さな笑み向けながら感想零して）
多分。…確かに人と一緒に過ごすのも悪くないね、心地好い気がする。
　
　

母の負担を減らす為に料理を覚えたのがここで役に立って良かった。
（褒めてくれた相手が彼だからか素直に喜び表し、母親以外で朝食が楽しいと思えたのは初めての様で。また一緒に食事したいという感情が芽生え、心地よい時間が過ぎていき完食すると手を合わせて食後の挨拶してから食器を洗ったりと忙しなく動くと登校時間になってしまい。泊まらせてもらった御礼をしてから名残惜しいが登校する為に部屋を出て）
──もうこんな時間。隼人さん、お泊まりさせてくれてありがとう。お仕事頑張ってね？私も学校頑張るから。……行ってきます。