語り部さん 2020-12-17 23:27:56 |
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>梅雨さん
>>63
Ⅸ「もちろん覚えてます、六笠さん。ボクが誰かのことを呼ぶときは、任務のとき以外だと男性なら「お兄さん」、女性なら「お姉さん」、年下の子供には「キミ」、あとはお爺さんとお婆さん、あるいは役職での呼び方を使ってます。これも「偉い人」からの教えなのですが……ボクが人の名前を呼ぶのは、どうにも早いらしくて……もっと任務をこなして、慣れが生じてから名前を用いるように、ということらしいです。」
(と、あらかじめ用意されていたマニュアルをすらすらと読むかのように語る。話したことは事実だ。彼の言う「偉い人」……Ⅸに教育を施した人物のことであり、その意図はこれからⅨが語る内容だった。)
Ⅸ「偉い人が教えてくれました……ボクは子供で、感情が揺れ動きやすいと。だから、もし仲間の誰かと親しくなったとして……任務中に親しい仲間が重症をおった状況で……任務を最優先にしろといわれたとき、良くて任務遂行にタイムロスが生じるか、最悪の場合は……任務を放棄して救出、命令違反をするか……とのことでした。お姉さんやお兄さん達がそうなる事態はあまりないかもしれませんし、命令もそんな風になることはないとは思いますが……それでも、絶対ではないと言われました。……だから、ごめんなさい。名前呼びも、仲良くなることも……偉い人に言われた通り、ボクが任務をたくさんこなして慣れてきて……もう大丈夫だと偉い人が判断したときに、仲良くしてもいいらしいです。……すみません、ボクは別に、仲間のみんなを嫌ってるわけではないんです。ただ……教えられたことは守りたいので…。」
(と、心底申し訳なさそうに言う。気を悪くしてるかもしれない、という自覚はⅨにもある。完璧に出来ている子供なら……偉い人にとっての理想どおりなら、仲良くなれてたかも……という思いから生まれる無力感もあるからだ。未熟でさえなければ、きっとスムーズだっただろう、と。
距離をおくのは、本人の意思もあるのと、「偉い人」からのありがたい教えがあるのと……隠されている悪意からくるものなのだが、三番目は少なくとも、春夏隊の面々ではわからないかもしれない。)
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