?? 2020-12-13 20:19:09 |
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>>16
「……」
出かかった言葉を飲み込むギルドリスを横目に、やはり彼も自分の存在に疑念を抱いているのだと推測する。
ロスナとは、人形とは。我々が存在する必要のない時代を創るためなら甘んじて受け入れるが、もしそうでないなら――ただ伝統を保ち、封印を維持し続けるためだけに選ばれたのなら。壊すしかない。
「それは名案ですね。涼みに行くとしましょうか」
そんな不穏な思考と表情は、川に行かないかという兄妹の提案が耳に入ると同時に覆い隠された。
熱が籠る軍服を着込んで練り歩いた後だからこそ、涼しい川でリフレッシュするというのは魅力的な提案である。
(鍛錬は……帰ってからか、明日でもいいか)
セリアの眩しい笑顔に微笑で以て返すと、川のある方向へ足取りを進める。
この日常がいつ壊れるか、もしくは自らの手で壊さなければならなくなるか分からない。
せめて今くらいは団欒のひと時を満喫しよう。そんな甘い言葉を自分に言い聞かせた。
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