加賀 2020-12-13 03:01:30 |
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おい、無理に起き上がらなくてもええて…───わかった。( 緩慢に起き上がる体、辛そうだが意識はきちんとあることに心底ほっとして思わずその場に頽れそうになる。貴方を支えようと手を伸ばしたところで掛けられた言葉に固まっては、ぐっと拳を握り締め静かに頷き )…けど、ここで寝とっても治るもんも治らへん。なあ、縁…ベッド行くんと、着替えるんだけ、手伝わして?頼む。……おまえんこと心配でこのまんまじゃ帰れ言われても帰られへんねん。( ほんの少しだけ明かしてくれた昔の話と重なって、胸が強く締め付けられる。寂しがりの筈なのに、一人で平気な訳がない。幼い頃からこんな風に毎回強がって、寂しい寂しいと泣く己の心を守っていたのだろうか。こんなときだって人の事ばかり気にして、肝心な時に甘え方がわからなくなってしまう、大切なひとを一人にするなんてとてもじゃないけれどできなかった。しかしながら、ここでいきなり長く居座ると言って押し問答になるのは避けたい。この寒い部屋から一刻も早く出て貴方を布団に押し込むのが最優先事項。それが終わったら嫌と言うほどたっぷり甘えさせてやるのだと心決めをして。振動を与えないようゆっくり隣に腰掛け、そうっと肩を引き寄せると脱力した体を己に寄り掛からせ。火照ってしっとりした頬に空いた片手を添えて、親指の腹で柔く甘やかすように撫でながら、熱で潤んだ瞳をじっと見つめ、心配の色を滲ませつつも穏やかに問い掛け )
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