加賀 2020-12-13 03:01:30 |
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( やっと見られた、貴方の太陽のような表情につられて頬が緩みほっとする。幾重にも鍵を掛けて閉じ込めていた秘密は、扉ごと呆気なく破壊され、あたたかな腕に包み込まれてしまった。子どもっぽささえ感じる柔らかな唇の触れ合いに気が抜けて思わず笑みが溢れると、このままでも良いのだと己を肯定できていることに気が付き、しがらみから抜け出すための道に漸く光が差して見える。口付けで呪いが解けるだなんて御伽噺みたいだけれど、本当にそんな気がした )っはは。…ん、ほんなら初心者用のやつにせなアカンな。───ほんで、今回のは…その、発作のことは今まで誰にも言うたことなかってん。家族も知らん。せやから、純粋に怖かったんもあるし……惚れたやつに情けないとこ見せられへんて思うてんのに、ちゃんと向き合おうとしてくれとる縁に背いて酷いこと言うてもた俺がいっちゃん情けない、ホンマもんのアホや思て許せへんかったんと…俺が突き放した癖におまえの泣きそうな顔、何度も思い出して、声聞きたいとか、わろてる顔見たいとか…ちゃんと飯食うてるんかとか、一人で泣いてへんやろかとか…。おまえが俺のこと、突き放してもええくらいのことばっかしてもうて、そんなこと考える資格、いっこもないのに、自分勝手な事ばっか考えて、勝手に落ち込んで、気ぃついたらああなっとった。………あんな顔させてもうて、酷いこと言うて傷つけてほんまにすまん。( 緩慢に頷き久方ぶりの軽口を返してから、拳ひとつ分後ずさって貴方の正面で正座をすると、己を落ち着かせるべく深呼吸をひとつ。表情を引き締め、改まった様子で、情けない自分を恥じるようにゆっくりと話し始め。結局のところ、五日間考えていたのは貴方のことばかり、別離の恐怖と会えない時間が募らせる恋しさ、それからとてつもない罪悪感と自己嫌悪に押し潰されて、心と体が机に向かうことを選んだ。順序を違えてしまったけれど、真っ直ぐに、いつだって誠実なヘーゼル色を見つめ、あの日の許しを求めるように深々と頭を下げて )
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縁、お疲れさん。こちらこそいつもおおきにな。俺も明日やったら早めのペースで返せる思うとるんやけど…一旦ゆるく遣り取りするんに切り替えるか?今んままでもええけど、こう、その、アレや……ひ、ひっつきたい、ていうかなんちゅーか…あー!あー!今んナシや!ナシ!撤回!( あわあわと両手を振った後、真っ赤になった己の顔を覆い隠して )ははっ、怖なったりなんかせえへんよ。早くても遅くても、おまえの言葉やったら、いつでもなんでも嬉しいさかいに、好きなペースで返したってや。………ったく、いっちゃん可愛いんはおまえや、アホ。( 小さな溜息と共にぼそぼそと呟いて )
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