加賀 2020-12-13 03:01:30 |
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上手やね、ええ子ええ子。何も急がんでええからな(零れる涙声が可哀想で胸が痛くなる。背中を擦ることしか出来ない無力さに両目は細くなり、声だけはゆっくりとした喋り方で子どもをあやすそれに似ていて。少しずつ呼吸が落ち着いて来たことに小さく安堵を抱きつつ、はらはらと泣き腫らしたのが伝わる赤みを帯びた目元が痛々しくてきゅうと胸が絞められて)擦ったらあかん、明日んなったら腫れてまう。弄らんの(こんな時に役立つだなんて思わなかった商売道具の手拭いを取り出して、涙の跡を吸い取るように貴方の顔へそっと当てて)堪忍な、俺、何聞いても離れてやれへん。……どんなに頼まれてもお前んこと自由に出来んねや。俺がお前んこと苦しめてるんとしても無理や。(身じろぐ貴方を離す事は出来ず、背に回す腕を抱きしめるように力を込めて)…せやからな、教えて。誠士郎んことは何でも知りたい。
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