加賀 2020-12-13 03:01:30 |
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…ん、……えにし、───?!( 自分の意思と反して体が動き、愛しい声が聞こえる、温もりを感じて小さな声で柔らかく貴方の名を紡ぎながらぼんやりと目を開いた。視界いっぱいに広がる焦った貴方の顔は、夢か現か。だんだんと霞の掛かった意識が晴れてゆくと、ハッと勢い良く起き上がり、一瞬起きた目眩に額を抑えつつも白い顔を真っ青にしながら腰を抜かして後退って。積み上がった語学書の山がばさばさと音を立てながら崩れ、はくはくと混乱した様子で声にならない声をあげ )ぁ、……ちゃう、ちゃうねん、縁……すまん、…ちゃんと、するから。堪忍して…( きちんと数えていた筈なのに途中から日付の感覚を失い、約束の五日目のことをすっかり失念していた。こんな形で頑なに隠していた悪癖を露呈させることになろうとはつゆほども思っていなかった。叱られる前の子どものような怯えた表情でかたかたと震え出す自分の体を両腕で抱き締めると、力無く首を横に振りつつ掠れた声で幾度も否定と謝罪を繰り返し。果たして貴方はどんな顔をしているのか、恐ろしくて語学書の散らばる床に視線をやる他なく。感情が昂り、気が動転している為か、瞳に厚く張った大粒の涙がほたりほたりと落ちてはフローリングを濡らしはじめて )
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