加賀 2020-12-13 03:01:30 |
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───……。(嗜める優しい音で話しかけられれば痛いだろう程の力で握っていた指も雁字搦めの糸が解かれるように外されて、優しい熱を与えられてしまえば愈々鼻の奥がツンと痛み熱を生む。気を抜いてしまえばボロボロと泣きだしてしまいそうで噛み締める奥歯がズキンと痛んだ。は、と吐息のように細い息を短く零してから)……わかった。(何とか絞り出した声はその一言が限界で、それ以上は涙が浮かんでしまいそうで情けない姿を見せたくないと口を結んだ。冷気で顔に集まる熱を冷やすため肩を持ち上げ息を吸い込み、包み込んでくれていた貴方の手を自分の両手で一度ぎゅっと握りしめ)ほんなら、五日後。仕事終わったら真直ぐ来るから。……今日は荷物だけ持って帰るわ。(この状態で五日も貴方と離れる事に不安が無いと言えば嘘、寂しくないなんて物は完璧な強がりで。それでもこれ以上は縋りついても駄目だと察することが出来てしまい、離すのが名残惜しい貴方の手をきゅうとか細く握り締めてから漸く自由にし)ちゃんと温い恰好すんやで。ちゃんと飯も食いや、……ほなね(口許にゆるりと笑みを浮かべて言葉を送り、最後にはすん、と鼻を鳴らしてしまいつつこれ以上の情けなさを見せてしまわない内に今夜はその場から引いて)
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