加賀 2020-12-13 03:01:30 |
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………ホンマにすまん、縁。( 思わず胸を撫で下ろした、心底安心してしまっている自分に嫌気がさす。優しい貴方の手に擦り寄るでもなく、全てを見透かされてしまいたくなくて必死に目を泳がせながら、沈んだ声で何度目かの謝罪を繰り返して )───ちょっと出てくる、……明日、仕事やろ?遅くならないうちに帰り、( 恐らくこの話は日を改めたとて平行線になるだろう。何かに弾かれたようにすっくと突然立ち上がると、取り繕った笑みのまま座り込んだままの貴方の髪をおざなりに撫で、気遣うような声を掛けてから、近くに置いていた仕事用の鞄とスマートフォンを引っ掴み。これからいっとう大事な貴方にとてつも無く酷いことをいって逃げ出す、見限られても仕方が無いとわかっていながら震えそうになる声は深呼吸をすることで誤魔化して。振り向きざまに、さっと顔から表情を消すと、淡々と突き放すように、懇願するように告げては、貴方を一人部屋へと残し、もうあと数時間で日付の変わるであろう夜闇の中へと飛び出してゆき )悪いんやけど、…暫く俺ん家来るん辞めたって、…頼む。
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