『愛してる、よね…?』「───もう女として見られない、」
付き合い始めた頃はとっても幸せだったのに───。5年、6年と付き合いが長くなるにつれ喧嘩も増え、気持ちのすれ違いを感じながら気付けば12年。近頃はお互いに仕事が忙しいこともあり、会えない日が続いていた。昔はほんの僅かな休憩時間にも連絡を取りあっていたのに、今では「お早う」「お休み」なんて挨拶だけ。そんな現状にモヤモヤと気持ちを燻らせながら迎えた休日。
『今日、──も休みだよね?』「まあ、休みだけど…」
『どこか行かない?』「あー…、いや…うん、行こっか」
歯切れの悪い返答を疑問に思いながらも、軽く身嗜みを整えいつもの待ち合わせ場所へ。前から見たいと言っていた映画のチケットを買い、座席へと腰掛けるも終始落ち着かない様子の彼。帰りに立ち寄ったカフェで浮気をしていること、その彼女が自分より10も若く可愛らしいこと、全てを吐き出す彼に頭が真っ白になった。
それから帰宅するまでの記憶が無い。唯一覚えているのは12年も連れ添って来た彼氏と別れた、その事実だけ。12年間の思い出は呆気なく、ただ数分の胸糞悪い自白で幕を下ろした。