「囚人」 2020-11-19 02:16:14 |
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……おっと、起こしたか?悪い。病み上がりだし流石に休もうと思ったんだが、ふと浮かんだ案を頭の中に留めておくってことは出来なくてさ。アイデアは鮮度が命だ、早めに練るか形にするかしないと最悪跡形もなく消え失せる。ブラシ放電が静電場や磁場の中で作用する力の研究に有益なんじゃないかって思いついて、これを電信技術に応用できないかと──いや違う、そんなことを話そうとしたんじゃない。なんだったかな、えーと……思い出すまで君の話を聞こう。……ふむ、そうだな。私個人は否定したいが、きっと君と深く関与することにはならなかっただろう。その先天性白皮症に関心を抱いて、好奇心から話しかけたりして、徒に君の気分を害することはあっても…それ以上の関係にはならなかった筈だ。発明家として大成し、良家の娘と結ばれて、やがて子供が生まれて、理想の家庭を築くことが出来たかも知れない。君の愛を知った今、そんな順風満帆な人生はとんだ悪夢にしか思えないが。安穏とした一生を想像しただけでも恐ろしいなんて、いよいよ狂ってるって言われても仕方ないか。アンドルー、君は変わったよな。少なくとも、君は他人の為に"何だってしてみせる"なんて言うような男じゃなかった…筈だ。偏見かな。何にせよ、君が私というたった一人にこうも心身を捧げてくれるのが嬉しくて仕方ない。同時に、私の心身を既に発明の完遂に捧げてしまっていることが惜しく思われる。ああ…この話、もしかして以前にもしたか?何度でも伝えたいことなんだけどな。私から君に捧げられるものといったら、もう魂くらいのものだろう。「囚人」でも発明家でもない、ルカ・バルサーの魂は君に捧げたい。
アンドルー…心配しなくてもいい、だって私を性的な魅力を感じる人間なんか君くらいのものだろう。少なくとも、この荘園においてはな。それともう一つ、素直に報告しておこう。君に性的な眼差しを向けられたという事実を、嬉しく思った私が居ることを。以前にも確認は取ったが、きちんと"そういった"対象にはなっているようで安心した。持て余すほどの欲は持ち合わせていないつもりだが、私もひとりの男だということを忘れてくれるなよ。
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