黒猫 2020-11-19 01:55:48 |
通報 |
>All
「 演じなさい 」
( 高層ビルが立ち並んだ街中。スクランブル交差点。
そこには異様な光景があった。およそ数キロメートルに渡って血と肉が当たり一面に散らばっている。
そして巨大モニターから流れるニュース速報が静寂の街中に響き渡った )
『 緊急事態です。現在、魔人ドラマツルギーによる襲撃を受けています。現地にいる方は迅速な避難をお願いします 』
( そんな放送はもはや無意味だった。
現地にいて、かつ生きている人間たちは、異形の生物を前に、血の水たまりの上にカタカタと震えて跪いている。なす術なく。
ーー当の異形の生物。数メートルにも及ぶ長身かつ細長い肉体の生物。子供が見たらトラウマになにかねない、赤緑のピエロの仮面を被り、2世紀ほど前のヨーロッパ的紳士服を着用したその姿の不気味さは遠くから見ても視認できる。そして、異形の生物『 ドラマツルギー 』は語った )
「 生きたければ演技をしなさい。
アナタはアナタの愛する人間を引き続き「 ストーカー 」しなさい。それがアナタの存在証明に繋がる。期限は現在2020年11月26日時刻19時17分30秒から2051年4月28日時刻2時13分1秒までとする 」
「 …は、はい 」
「 そこのアナタは仕事を辞めて、すべての事業を放棄し、すべての資産を預金現金化して燃やしなさい。そして、「 落ちこぼれ 」を演じなさい。それがアナタの存在証明に繋がる 。期限は現在2020年11月26日時刻19時18分2秒から2076年2月2日時刻23時45分58秒までとする 」
「……ふざけるな。ふざけるな!!ふざけるなぁぁぁ!」
( とあるサラリーマンは激怒した。彼のそばには同僚らしき女性が死んでいる )
「 死になさい 」
( ドラマツルギーは、長々しい人差し指をその人物の額に当てた。すると彼の頭は、文字通り、風船のように弾けた )
トピック検索 |