迷子の魔人 2020-11-10 17:35:38 |
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(説教めかして述べた自分の台詞に対する相手の返答には、そっと黙って表情を盗み見たのみで済ませて。……だって、守ってもらわないと今後別の約束をしても安心して信じていられないだろう?、という本音は、口に出すとくどいような気がしたので敢えて言わず、胸に留めて置くこととし。それから、相手があの騒動の現場でも手掛かりを逃さず、しっかり拾っていた事実を知らされれば、一瞬だけ瞳を丸くし、続けてしぱしぱと瞬きをした後、如何にも感心したように「えぇ、よくあの騒ぎの中で」と述べ、さらに、差し出された魔風石のカケラと相手の顔を一度交互に見てから、ぱっと笑顔となれば「……さすがだね。頼りになるよ!」と心からの賞賛を告げ、軽く肘で相手をつつき。
その後、柔和な表情を少し悪戯っぽく歪めれば「まぁ、でも、顔の傷は自分じゃ舐められないだろ?消毒液くらいつけておこう?」と、先に相手が口にした強がりのような言葉に、やや理屈めいた切り返しをして。再度周囲に注意を向けると、相手が口頭で指し示した通り、幾らか距離を置いた辺りに衛兵と鴉らしい人物の姿をそれぞれ認め。衛兵はともかく、内心で鴉を指して、つい「しめた。本当にいるものなんだな」と呟きを漏らせば、先程爆発に巻き込まれたばかりの相手の挙動にもさりげなく気を配りつつ、足早に鴉の近くへと向かい。……恐る恐る声をかけてみれば、その人物は本当に鴉。周りに人がいないか、盗み聞きはされないか、といったことには互いに気を配りながらも、声を潜めて "太陽[シャムス]の者だ" という正体を明かし合うと、あっと言う間に話は通り、すぐ付近にある別の隠れ家に案内されて。
そこは一見ただの民家。全く何の変哲もなく、入ってみれば内装はやたらとシンプルで、室内には机に椅子、ベッドといった最低限の物しか置かれておらず。"己が話を聞き、その内容を書簡にまとめて組織に届けようか" と提案する鴉を緩く制し、報告事項と確認したい点は自分で手紙にしたためると宣言しては、筆を取るために空いていた机に着きながら、鴉と相手、双方を見比べて)
鴉くんは、アルムの怪我を手当てしてやってもらえないかい?消毒液と絆創膏は、もしここになければ俺の鞄の中にあるから。……アルムは手紙を書き終わるまで、ベッドにでも座って休んでいてほしいな。鴉くんのこと、困らせたら駄目だよ?
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