迷子の魔人 2020-11-10 17:35:38 |
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……!
(相手をその場に残し、部屋を飛び出したまでは良かったが、マンションの廊下に出れば、他の部屋の扉も目について。あれ、これ、もしかして、他にも入居者がいる……?と思い至ると、自分と相手だけが危険を察知しているのに、黙って一人で逃げるのはどうなのかと思考が巡り。咄嗟に隣の部屋をノックしてみるが、応答はない。空き部屋か?それとも昼寝中とか?……そもそも、必ず何か悪いことが起こるとは限らない。相手が講じた策が上手くいって何事も起こらずに済む可能性もあれば、元々あのカウントは只の脅かしで空騒ぎだったというオチがつく可能性もあり。だが、逆にとんでもないことが起きる恐れも捨てられず、さらにその規模も計れないのなら一部屋だけを気にしても不足そうで。心を決めたように扉から離れれば、素早く廊下を駆け、階段の近くにあった非常ベルを作動させ。けたたましい音がマンションに響く。先程までいたのは3階の角部屋。よって、幸い隣にあるのは一部屋だけ。それでも同じ階どころか、なるべく付近一帯に届くようにと口元に手を添え大声で「火事だーっ!3階で火事が起きてるぞ!!すぐに逃げろ!!」と叫び。そこまでして漸く自分自身も急ぎ足に階段を降りていくと、1階に着いてから壁に背を添え、様子を伺うように上方に視線をやり。どれくらい時間が経っただろうか、相手はまだかと思った瞬間、突如、マンション全体を揺さぶるような震動と耳をつんざくような轟音が届いてきて。最初は瞳を閉じ、全てが治まるのを大人しく待ったが、やがて瞼を開けると上階に向かって相手の名を呼び掛け)
───……ッ!! ……アルム~!俺はここ!無事か~!?何処にいる!?
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