迷子の魔人 2020-11-10 17:35:38 |
通報 |
おーけい、おーけい
(出掛けようしつつも夕食の心配も欠かさない相手の言葉に応じ、笑顔で片手を上げれば、その背を見送って。部屋に一人きりになると、改めて白机に向き合うも、くす、と思わず笑みをこぼし。魔人というのは、アシュラバート成立以前の昔から存在すると聞いており。相手も身近な思い出を語ろうとしたところで、二世代前の前世の自分と縁があったというほどに長生きしているらしく。もしかすると、年長の神秘的で偉大な存在とも捉えられるのかもしれないが、一緒にいて、とても強いことや価値観に独特のずれを感じることはあっても、なかなか威厳らしいものは実感できず、そのギャップがおかしく思えて。……だが、呑気一本ではやっていられない。親しみを覚えるからこそ、相手の力を狙い、悪用を目論むものとは自分も契約者として対峙していかなければ、と不意に気を引き締めては、書き物に戻り)
******
(さて、次の日の午後。東寄りとはいえ、南部の陽射しはやはり厳しい。それでも小まめに水分を摂りつつ、掘っ立てられた幾つものテントの下を縫うように、床に敷かれたシートや簡易で設けられたテーブルの上に並ぶ宝石や鉱石、アクセサリーを物色しながら歩き回っていて。気になるものを見つけると、それぞれの店の主や売り子に断っては、愛用のルーペで検分し。自前の鑑定グッズを持っているのなら、昨日相手に頼んだ買い物は一体というところだが、その答えとばかりに度々相手を呼び止めると、新品の鑑定グッズを暗に使うように促しつつ。……魔人の見る目に興味を持ったというのもそうなのだが、それ以上に目利きができるなら、仕入れも安心してお願いできるようになるかもと、些か狡い考えを持っていて)
ほら、ね? アルム、これ、どっちの方が高価かは分かる?
(/了解です^^ 丁寧に答えて頂け、ありがとうございます*´`*)
トピック検索 |