参加者 2020-11-01 10:31:10 |
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>星名桜雪
「・・・」
街の人集りの中、ふと何かを感じる。気配にする方向へ目だけを移動させれば視界の端に一人の女性の姿が映る。マスターか、それとも聖杯戦争を見に来た魔術師か。或いはどこかの勢力に雇われた魔術使いか。サーヴァントが偽装している可能性すらあった。それはその人物が纏う雰囲気の違いでしか感じられないし、自分は【真名看破】のようなスキルを持っている訳でもない。いわば『盗人の勘』のようなものだ。そんな当てずっぽうにも近い感覚でこの人物を追うべきか否か。一瞬の内に下した判断は___
「・・・」
『相手を尾行する』という結論に至った。魔術師である事は確かなのだし、相手の立ち回り次第では他のマスターの情報や相手そのものを囮としても使える。マスターなら何かサーヴァントの情報を得られる可能性がある。盗むのは己の得意中の得意だ。主曰く『自分の工房は魔術師にとって最高の要塞』というのが魔術師の常識らしいが、要塞だろうが鉄壁の城だろうが悠々と忍び込んで易々と抜け出すのが『天下の大泥棒』たる自分の矜持でもあった。さりげなく方向を変えれば、相手と十数人程の距離を保ったまま、気付かれないよう注意を払いつつスキル等は一切使わずに尾行を始めようか
>恋雪
「物分かりが良い。流石は魔術師と言った所だな」
この辺りが潮時だろう。からかうのは好きだが、からかい過ぎて本気にされても後が厄介になる。彼女の提案通り少し離れた小路へとせっつくように向かう事にする。
「振り返るんじゃないぞ。その綺麗な顔に傷が付くのは惜しいからな」
一応の念押しをして小路へと入る。少し奥まった路ではあるがある程度は身動きがとれる反面、人払いがされたように誰もそこに関心を向ける者はいないらしい。主の持っていた魔術書に書いてあった(といっても全く理解出来ないものだったが)『自然が生み出す結界』という物なのだろう。ここであれば相手が魔術でも使ってこない限り多少の大声は合ってないようなものになるのだろう
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