双葉 弥 2020-10-13 19:42:29 |
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(温泉旅行ペア招待券?ふざけるな。なんてものをなんて人物に渡しているのだ。この先輩と3泊4日の温泉の旅にでも行ってしまえば確実に喰われてしまう。要らぬ世話を焼くな、まだそういう関係ではないと反論しようとすると、そこには深々と頭を下げて一昨日のことを謝罪している先輩がいて。動機がどうであれこれほどまでに甲斐甲斐しい相手を見るのは初めてで、口から出かけていた反論の言葉は一旦押さえ込み、口を噤んで。)
「あー…。まぁあの時は咄嗟に弟に頼まれたから勘違いさせてしまったこっちも悪いし、お恥ずかしいところを見せちゃったね。」
(チケットを渡し、お礼を言われたと思えば今度は深々と謝罪されて。たしかに一昨日の相手の行動や言動には驚いたが、それはこちらが勘違いさせてしまった故のことで、そのことについてこちらからも謝りつつも今の相手の一挙一動を見れば本当は良い子()なのだと理解して。相手に気にしないでと言うも一瞬気まずい空気が流れればその空気を変えるべく、「はい、これでこの話題終わり。」と、体罰と言って良いほどのものかわからないくらいの軽いデコピンを相手にすれば、これで相手も多少は罪悪感が薄れるだろう。そして、LINEのIDを書いたメモを渡せば「弟に泣かされたり、困らされたりしたら私に言ってね。この子、私には頭が上がらないんだから。」と、ここで女子特有の謎の結束力が生まれ始めて。)
「翔も、こんな良い彼女さんなかなかいないんだから大事にするんだよ。温泉、行かなかったらわかってるよね?」
だからまだ彼女じゃないって!
(まずい。着実に外堀が埋められていってる気がする。こういう女子特有の謎の結束力は本当に厄介だと忌々しげに思って、姉から温泉に行くことを釘刺されるとぐ、と反論できずにいてどうやら本当に逆らえないらしくて。「じゃあ、私はもう少し寝るから?。」と姉が部屋から出ていけば、『次から次へと…。』と迫りくる困難に長い溜息を吐きながら頭を抱えて。)
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