誇大妄想狂 2020-08-20 11:06:10 ID:5a7104027 |
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>実験現場
「 巳狂乱臨郷器阿嘉瑠照流…」
( お経のようなものを唱え続ける中年男性が、怯えながら、地面が血塗れの空間内を歩き回る。
男性の後ろからは、尋常じゃないうめき声が上がっている。それは獣のような人間のような、まるで見当がつかない異常な声。どこまでもまとわりついていくその声の正体を男は知っていた )
「 行業六角親戀…行業六角親戀…… 」
( ぎょうぎょうろっかくしんれん、その言葉は六角教団のお経にある。男はただひたすらにその言葉に縋り付いた。しかし、どれだけこの血塗れの床を歩こうとも、背後の死者はどこまでも付いてくる。この広い空間に出口などないのだから )
「 ヴ…ぁ…ヴヴヴ 」
「 …はぁはぁ… 行業ぅ…ろ…っかく 」
( 脚がもう動かない。壁面の高い位置にある肉厚なガラスの向こうには、多数の白衣を着た連中らがこちらを見ていた。男は涙を流し絶望して膝をついた。這い寄る死の影 )
「 息子に会い」
( 背からくる鈍痛。あまりの痛みに男は一瞬固まる )
「 やだぁ、やだやだやだやぁぁだぁぁあ!!!!あああああああっっ!! 」
( ぶちぶちと引きちぎられる感覚。後ろの死者の貪りの勢いのあまり、前のめりになるほどに押し倒され食われていく。
一方でガラス越しに観察していた研究員たちは )
「 これがゾンビの異能力…、開始から1時間が経過しました。被験者60名はゾンビ10体に食われ全員死亡。30分で蘇った者もいますが、おそらく一日ほどで残りの全員がゾンビ化すると思われます 」
「 …死屍山 甦生(ししやまこうせい)、SNS名は悪食。異能力はゾンビ。彼の歯が人間の皮膚に食い込むと、ゾンビ化の源である病原菌が注入される。そこで人間の細胞内に感染の病原体が暴露すると、その人間は感染し、ゾンビ化する。そしてゾンビ化した人間は、人間を貪り続ける殺戮装置へと成り果てるわけだ。殺戮装置は人間を喰らい殺し、その人間たちもまた死者として、平均して1日ほどで甦る。ここ一週間の実験結果で確定してきたことだ。だがまだまだ不明点がある。実用化には時間がかかりそうだ 」
「 はい、…ただこれ以上の被験者利用は避けた方が良いかもしれません。ここ一週間で600名以上を実験消費してしまっています 」
「 確かにそうだな。我々、研究班の資材のためにも六角教団にはさらに尽力してもらわなければな。
ところで、彼の様子はどうだ 」
「 …彼の脳神経細胞の活動は正常です。ただ、原因不明なことに手足の再生速度が上昇傾向にあります。自動的に手足を切断する装置にかけているので問題はありませんが、原因究明はした方が良いかと思われます 」
「 未知の領域だからな。課題は山積みだ。ーー例の液体のこともあるし 」
「 …ですね。私はどちらかというと、ゾンビよりもそっちの方がよっぽど恐ろしいです。データを見る限りですが、例のそれはどんな負傷も、それこそ病ですら治癒してしまうのかもしれません。サンプル量があまりにも少ないのが残念ですが、間違いなく異能だと考えていいでしょう。
ただ、私たちの役割としては、そうした異能を科学的に説明付けるということです。はっきりといってしまえば絶対に不可能ですよ。物理的な因果法則から逸脱した存在、亜原子粒子量を無視した存在、数理では処理不可能な存在、それがメガロマニアの異能力です。こんなもの、科学では到底解析できません 」
「 んなことはわかってんだよ。だが、それが俺たちの仕事なんだよ、分かるだろ?…リサーチャーに指示されたのだから。できなくてもやるしかない 」
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