誇大妄想狂 2020-08-20 11:06:10 ID:5a7104027 |
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>霧さん
(血を吸われる虚脱感に、抗うこともなくされるがままの幻。そもそも、血を抜かれ過ぎれば貧血を起こし、最悪死にかねないのが人という生き物だが……幻の場合は呼吸さえしていれば血は増えるので、その心配はない。なので、今の状況に何ら恐れも危機も感じていない。
そして、霧さんが無意識的に逃がさないように強く締め付けるのを感じとり……幻は、「今の僕は、お姉さんに必要とされている」とより強く思い始め、心が満たされるような気持ちになっていた。
人に求められ、必要とされ、喜ばれること……それが幻という歪んだ少年の、満たされる条件。付け加えるなら、両親にさえ抱き締められたことのない幻は、初めての人の温もりに無意識的に喜んでいる。普通であれば捕食同然のこの状況を、容赦なく血を吸われ虚脱感を受け続けている、いかにも恐怖的な状況を……幻は、嬉しがっている。)
「大丈夫だよ、お姉さん。僕は何処にも逃げないし、いたくないからね?沢山吸って、満足するまでしてていいから……ね?」
(いっそ、人を依存させるような……人を欲に掻き立てかねないような。そんな甘く蠱惑的な言葉を、霧さんに囁く。相手が欲求によって自制が聞いていないと様子からわかっていても、幻は優しく宥めるかのように、その行為を肯定し、自らも霧さんから離れないようにと、両腕を霧さんの首の後ろに回して抱きついた。)
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