奏歌 翔音 2020-08-14 23:09:35 ID:5762b1903 |
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>918 >ルミナスさん
「そうか。」
ルミナスさんの言葉に短く返事をした砂金は端末に「聞こえたか?」と声を掛ける。ノイズが大きく走るが静まると、掠れて牡石の声が届く。
『わかった。えぇっと、じゃあ、気をつけてね?僕の魔法も万能ではないから……あくまでも「1番魔力があった状態」の時に戻すんだ。長時間はだ、ダメだからねっ!』
「でもあんたのその魔法、確か記憶が消えるとか言ってなかったか?」
『それは、その、うん、大丈夫。大丈夫とだけしかいえないから、あ、安心はしてほしい!』
「吃ると安心できんがな。分かった。俺は補佐に入る。」
『じゃあ、通信を切ったら掛けるから。えぇっと、無理はしないでねっ。』
「知らん。俺は指示に従う、戦う、成果を出す。それだけだ。」
『うぅーんっ!どうしてこうも癖が強い人達が多いんだろうっ。そ、それでもいいよ。そ、それじゃぁその、また連絡してね、砂金くん、ルミナスさんっ。』
砂金の淡々とした返事に牡石の何処か遠くを見ている様子の声が途絶えれば砂金は固定を外し、装備を準備する。
「あんたは。」
何らかの準備をしている中、ルミナスさんに砂金は声を掛ける。何時もの淡々とした声だった。
「あんたは自分が最も罪深いと言うが、それは誰が決めた基準になる。」
足、腰、ホルダー。そして器用に片腕でカチャッとワイヤーリールをつけていけばルミナスさんの目をしっかりと見つめて口にした。
「所詮天秤は天秤だ。数ある中のひとつに過ぎん。あんたが最も罪深い魔法使いなら、俺も同じ罪深い殺人鬼だ。」
ハッキリとそう答えた時、ルミナスさんに抑えつけられ、消費した魔力が砂時計を逆さまにした時の、落ちる砂。その位の速さで「巻き戻って」いく。サラッと砂が落ちきった幻聴が聞こえた時。2人は完全に魔力も気力も取り戻していた。
不可思議なのは、箱が初めに見つけた物書き机の上に戻っていて、床の文字も無いことくらいだろう。
>919 >ディーリスさん
「不許可よ。責任とりなさい。」
サラッと答えれば腰周りを捕まれ勢いよく運ばれる。流石に運び方に驚いたのか、「レディをなんだと思ってっ!」と怒ろうとしたがその勢いで舌を噛むと判断し口を閉じる。
階段の所で止まった際に、ターナはディーリスを見上げ、少し険しい顔をして声を掛ける。
「あなたも感じたみたいね。この魔力……。」
幸い酔っておらず、抱えられたままのターナはディーリスさんに声を掛ける。
「……もしかして、これは、少なくともこの現象はベガの書類にあった「断罪の翼」なの?」
ターナは思い出した様に口にする。それは恐らく、ディーリスさんも知ってるかも知れないし、読んでいないかもしれないが。少なくとも「断罪の翼」は誤った使い道へと導く一部の古代魔道兵器を封じる為のものだったことは知っているだろう。
「分からない事だらけね。嫌になるわ。」
そう話す間にもジャラジャラと音を立ててゆっくりとした足取りで包帯のそれがディーリスさん達を追いかけてくる。と、窓に差し掛かった時。
激しく割れる音とその包帯の巨体を飛び蹴りして吹き飛ばす、赤い服が現れる。
吹き飛び転がった巨体に対して、細身のその男はスタイリッシュに着地する。
「ターナさん!ディーリスさん!今着きました!!」
それは、デネブのトップを飾る赤きヒーロー。恵人であり、デネブだった。明るい笑顔を見せれば無事ですか!と元気な声を出す。
「迷子にも程があるわ。私3時間前に連絡入れてたのよ?何してたのかしら??」
「ん?あらゆるホテルに辿り着いてました!」
「地図!!見なさいお馬鹿さんっ。」
その様なやり取りの中で急に自分達の体に軽さが、嫌、気力や魔力が戻る感覚が訪れる。そして、目の前で恵人が割った窓や花瓶、文字も消えていくのを目の当たりにする。
誰かの魔法が、この「ホテル」にかけられたのだ。
「時間魔法……?っ!魔力の反応が強くなった。何、この膨大な魔力は……?これは、魔力そのもの?」
そう、牡石は「ホテル」にroadの魔法を発動させ、中の人物の記憶を奪わずして魔力を回復させるという方法を取っていた。それは、情報に強いベガの人間の1部なら「千年伯爵」と呼ばれた存在が居る。という事は把握しているかもしれない。
これで少なくとも、ホテル内の人間は明確に誰が何処にいるかを把握できるようになり、乱用しなければ魔力も使えるようになったのだ。
そして、包帯の巨体は棺桶をじっくり見たあとに3人を包帯の隙間からの金色の目で、見つめて再び近づき始めた。
>920 >黄泉さん
『嗚呼!妾の部屋に、この妾になんと言うことを!その魔力も血も全て奪って、奪い尽くしてやるぅぅぅ!!!』
黄泉さんの地獄の攻撃に継ぎ接ぎのそれらは吹き飛び消し炭になる。空間に攻撃している為か、何かの拍子にこの空間の主に当たったのか。
荒れ狂う魔法の為判断はつかないかもしれないが甲高い女の声が響けば、その屈折し、彎曲する光と闇の柱を次々と襖が塞いで押し込めていく。
この空間魔法自体は強いものの様で、徐々にだが、黄泉さんの暴風は抑え込まれて行くだろう。
同時に、相手は攻撃も仕掛けてくるようで。
後ろの襖が開けば口にするのも難しい、体が煙のように薄く透けて、赤い血が巡るのが見える何かの集団が現れる。それらは武器を所持しており、一斉に構えて銃弾を放つ。
その銃弾が、ただの銃弾ではないことは容易に想像がつくだろう。
疾風は失血の影響もあってか、まだ意識は戻っていなかった。
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