奏歌 翔音 2020-08-14 23:09:35 ID:5762b1903 |
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>河川敷
知枝:
…いや、晶くんはそんな人じゃ―――
(そこから先を知枝が言おうとした瞬間だった。"ギチギチ"と音を立てながら、知枝の背中から見覚えのあるような、例の"鉤爪"が再び現れる。突如として現れたその鉤爪に対し、知枝に抱き着いていた似蛭は"あ、コイツ!!"と、即座に臨戦態勢に移るも、鉤爪の方は"ガチガチ"と爪を鳴らすだけで、似蛭を吟味するように見つめるだけで、その様子に先程までの凶暴性は無かった。困惑する似蛭を他所に、鉤爪はもう一本知枝の背中から生えると、知枝の方へと振り返って爪を鳴らしながらその爪を知枝の目前まで迫らせるが…その様子の"裏"に気付いた知枝は、そっと2本の鉤爪達を撫でてみせた。)
似蛭:
…大丈夫、なの?お姉ちゃん。
知枝:
…うん。まだ慣れてないけど…さっきと比べて、全然コントロール出来るようになってる。…もしかしたら、上手く行けば体格差のアドバンテージをこれで埋め合わせられるようになるかも……。
似蛭:
あ、やっぱそういう風に使うつもりなの?
知枝:
うるせっ。
(小言のように呟いた言葉を聞かれて指摘された知枝は、似蛭に余計な一言だと少しばかりの怒りを向けた。直後、先ほどまで穏やかな様子を見せていた2本の鉤爪も、似蛭に対して威嚇するように爪を鳴らす。
…その様子を傍から見ていた氷華は、クロさんの"対価"に対して、呟くように話す。)
氷華:
……そいつは儂の"父親"じゃ。ヤツは向こうのあの山…その山頂に住んどるが、陰陽師の一族と結んだ盟約で下山する事が出来ん。それに、この間お前さんより少し若い小僧よりも前に"不届き者"が山に忍び込んでな。一部の山道には"意志を持つ影"を住み込ませて、そいつに部外者を排除させる方針を取っておるが……ほれ、山頂に行きたけりゃ"この鳥"を連れていかせるといい。それがあれば山頂には滞りなく登れるはずじゃ。
(そう言ってクロさんに向けて右手を差し出すと、右手から"氷の小鳥"が生み出される。氷雀と違って意思は無いようで"ピーピー"と鳴いてるだけだった。)
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