パンドラの匣 2020-08-07 00:05:39 |
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────世界は、滅んだ。
其処ら中に死体が転がり、街は無人となった。
その原因はアルカナと呼ばれる悪魔と契約していた青年だった。
アルカナをその身に宿していた一人が発狂、力が暴走するのに呼応する様に他のアルカナ達の力が膨張。
その結果、“人間”だけに影響を及ぼす巨大な爆発が起こったのだ。
爆発の中心にいた筈の彼等が死ぬ事はなかった。
アルカナと契約した者は老いる事も死ぬ事もない。
どんなに死を願っても、どんなにボロボロになっても。
アルカナ達が飽きるまで、彼等は永遠に生き続ける。
これは、長い、永い後日談。
終わった世界で紡がれるエピローグ。
其れを読む者は、神か悪魔だけだろう。
【とある世界で語られた御伽噺】
世界には、その身にアルカナを宿した者が居た。
気付けば姿を眩ましてしまう青年は、愚者のアルカナに酷く執着した。
豊かな魔法を携え何百年も生きた人外の男は、魔術師のアルカナに身を奪われた。
自身の臆病さを隠す建前だけの力で世界を救った一人の女性は、力のアルカナを受け入れた。
その冷静な心で絶対的な死を与える男性は、死神のアルカナに蝕まれた。
余りある叡智で誤った一人の女性は、審判のアルカナと深く契った。
終わりを求め滞った一匹の女は、世界のアルカナに意識を落とした。
彼等はアルカナを疎い、畏怖し、同時に酷く愛した。
アルカナは彼等を慈しみ、──────そして 、
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