奏歌 翔音 2020-06-29 09:46:53 ID:5762b1903 |
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>東堂伊吹さん(許可を得て絡みを置いています)
【斑鳩刹那・駅前にて】
駅前に建てられた少女の像の前で、どこかそわそわした様子の少女が待ち人を探していた。
「『すずらん』さん、どこかな……私、待ち合わせ場所合っているよね」
少女――斑鳩刹那が呟いた名前は、人の名前にしては違和感がある。ある程度ネット文化に触れている人ならそれが所謂ハンドルネームであることに気づくだろう。
そう刹那がこれから会う人はネット上の友人であり、今日は初の「オフ会」であった。
「鳩木綿」こと斑鳩刹那が、「すずらん」さんを知ったのは先月前。Tmitterのおすすめユーザーとして出てきたすずらんさんのつぶやきを、気まぐれで見たのがきっかけだった。
「……なにこれ。……少し、羨ましいな」
すずらんさんはいわゆる陽キャで、楽し気な日常のつぶやきが多かった。しかしそれ以上に、恋人のことやラブラブな日常のことを多く語っていたのだ。相思相愛の人こそいるが波乱万丈な日常を過ごす刹那にとって、不器用だが照れ屋で優しい彼とラブラブな日々を送るすずらんさんは憧れになっていた。誘われるようにTmitterをフォローし、すずらんさんのつぶやきにいいねをつけるようになった。
しかし、すずらんさんのラブラブな毎日は急に変貌した。
「大切な彼を、突然現れた女に奪われた!許せない!」というようなつぶやきから始まり、「私の方が彼を愛しているのに」「あの女許さない」といった恨みつらみが続いていった。
もし、ユーリに同じことをされたら。刹那はたまらず返信した。
「大丈夫ですか!?近くに住んでいるようですし、よければ話聞きますよ」
彼女の投稿した写真やつぶやきの内容から、同じ町に住んでいることや二人の出身中学がわりと近くにあることは分かっていたために送った返信である。こんな出会い厨めいた返信でいいのかと内心悩んでいたがその心配は杞憂に終わり、とんとん拍子で二人は出会うことになったのだった。
こうして、今に至る。ただ、刹那には不安なことがあった。ネット上の知り合いに出会う危険やすずらんさんへの心配もそうだが、なにより……
「すずらんさんの彼氏さんの服、どこかで見たことがあるような……」
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