シンデレラ 2020-06-06 10:42:05 |
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( 賛辞の言葉を聞き届けた直後、自分は人語を理解している利発な馬だとでも言いたげな様子で愛馬が鼻を鳴らし、耳を立てた。それを横目で見ながら閉じていた口を開き「 ありがとう。 」と言の葉が紡げない彼女の代わりに感謝の意を表す。父親を失って言語に絶する苦しみを味わったのだろうか。身近な人が亡くなる気持ちは想像し難い。相手に同情を寄せて憂いに沈んだ顔で「 そうだったのか…、いや、本を借りるのは遠慮しておくよ。 」と断り。「 もしかすると俺は金に困った成金野郎かもしれない。 」眉尻を下げつつ少々芝居がかった口振りで嘯く。「 どうぞ。こんな風に首の辺りに触れられるのが好きなんだ。 」愛馬の首筋を柔く叩いて微笑を零すと己を倣うように促して。 )
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