シンデレラ 2020-06-06 10:42:05 |
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ああ。乗馬が不得手でね。
( 想像したくもないが、大臣達に再会したら今日から毎日昼夜問わず馬の扱いが下手だと謗られ続けるだろう。いやそれより馬をどこかへ逃がさなければ。一抹の不安が頭をもたげる。完全に上の空状態で、彼女が立つ際に手を差し出せなかった。女性への気配りを忘れるなんて普段ならありえない。一旦考え事を中断して相手から紡がれる言葉を耳で拾うと視線を脇に逸らして愛馬に目を遣りつつ微笑を苦笑に変え、溜め息を吐くように悄気た声風で言辞を返す。そして一拍も置かずに「そんな事より、」と先程とは打って変わった表情で発語し、話を転ずる。本を抱く仕草から察するに大切にしているんだろう。貸してくれなんて軽々しく口にはできない。笑顔を携え、興味津々といった雰囲気を漂わせながら問いを投げ。本について話を続けず、どこの令嬢かを聞くべきだったが、己と敵対している家の者だったらまずい。無意識の内に探るような視線を送って。 )
俺のような殿方が出るって言われたら読まない訳にはいかないな。その本どこで手に入れたの?
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