箱庭の管理人 2020-04-28 18:17:44 |
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( ひらりひらりと若草色が舞う中に、一輪だけ薄桃色の花弁が目に入り。ゆっくりと目を開けてはそのまま重怠い身体を起こして。神経を研ぎ澄ませ、そっと耳を澄ませる。ああ、自分を呼ぶ声だ。それはまるで小さな鈴を転がすような、耳の奥へとすうっと染み込む心地のいい声で。)
、、ああ、声だ。声がする。いかなきゃ、呼んでる。待ってて。僕の愛おしいクラウンフィッシュ。今すぐ、今すぐに迎えに行くからね。
( ぴょん、とソファから飛び退いては流れるような動作で窓の側へと降り立ち。またね、と一言残し彼が箱庭を後にする。そこに残るのは、淡い若草色と薄桃色の小さなベット。それはまさに、そこに彼がいたという証明のようで。プカプカと空へと上っていく泡の粒が、誰かの始まりと終わりを暗示するかのように。パチン、と音もなく弾け消えていき )
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