語り部 2020-04-21 09:24:51 |
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「っ!」
手を、さわられ
大丈夫、大丈夫だ。一瞬だし、これは男じゃないし人間じゃない。だから大丈夫だ、大丈夫。
そもそも僕はあの醜い人間ではないんだ。別に触られたって平気だろ。なんで狼狽えてるんだ。
ああ顔色は保てているだろうか。多分大丈夫じゃない。落ち着け、落ち着け僕
「そっか、目瞑ってたら見えないもんねぇ~」
そう言いながらさりげなく手を一度ほどき、羽織越しに握り直す。
「今から食べるものはレストランの料理よりずっとおいしいものさ!」
そう言って明るく返して席に着く。
よかった。いつもの"僕"に戻れた。
注文をさっと済ませ札を受け取り席へ戻ると妖奇士が憐れむように"嫌われ者どうしだね"と言ってきた。うーん、僕はけっこうここの陰口好きだけどなぁ。まあ普通は憐れむか。
「ん?君も嫌われてるんだ。ああそっか。妖奇士は嫌われるね。討魔士も。まあ僕の場合この性格が問題だけどね。」
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