世界の中心でサティスファクション：〆

( 夏休みが終わる。課題は休みの前半のうちに終わらせて、後半は友達と遊ぶなり家で過ごすなりと有意義に過ごせたのではないだろうか。特に自らの趣味においてこの長い休みは一番有効的で、あらかじめ買っておいたいくつかの長編RPGを消化するにはもってこいだった。アクションやシミュレーション等、溜まりがちになっていた所謂積みゲーもきれいさっぱりクリアした。気持ち良く明日を迎える事が出来そうだな、と自分の中である程度掲げていた目標をクリアしたことに改めて満足しては、風呂上がりにのんびりとリビングで残りの休みを過ごしていて。家族の話もテレビの笑い声も、耳から入る音は右から左へと抜けていき、スマホを開いてゲームに勤しんで……いたところに響いてきたのは玄関のチャイムと聞き慣れた焦り声。──あいつだ。「今年はギリギリね。」なんて他人事のように笑う母親の声は、早く出てあげなさいと暗に伝えてきているのがはっきり分かるし、父親と妹も、長期休みの度に起こる恒例行事だと笑いながら話している。…唯一の被害者である自分は盛大に溜息を吐くほか無く。野球一筋のあいつの事だ、どうせまた部活にかまけて課題に手を付ける事をすっかり忘れていたんだろう…しかしまさか今年は夏休み最終日に来るなんて予想していなかった…。弄っていたスマホをポケットに突っ込むと、隠す気のない呆れ顔のまま、未だ鳴り続けるチャイムに少し苛立ちを感じながらも招き入れるため玄関を開けて。 )

──うるっさい！お前今何時だと思ってんの？近所迷惑だろ！あとやばいのはお前の語彙力だよ、やばいしか言ってねーし！……はあ、どうせ課題だろ？上がれよ。