匿名さん 2020-04-13 01:02:57 |
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( 日数だけ見れば長く感じられた夏休みだって、過ぎ去ってみればあっという間。寝て起きて部活の練習に行ってを繰り返して気が付けば始業式前夜。こんな筈では…と首を傾げてカレンダーを見詰めてみても、当然今日の日付が変わることはない。諦めてシャーペン片手に手元にある課題の山と唸りながら睨めっこをし続けてはみた物の、元々理解力の圧倒的に足りない頭に焦りも加われば解ける物も解けずに早々に投げ出して。打開策その一である大学生の兄と姉に頭を下げ手助けを求めてみたが、二人とも弟の窮地に手を差し伸べてくれる優しさは持ち合わせていなかったらしい。「自業自得」とぐうの音も出ない正論と共に追い返されてしまった。であれば、と打開策その二で野球部のグループラインを開いて課題の共有を頼んでみようとするも、そこは夏休みを部活に捧げて自分と同じ境遇に陥った部員たちの阿鼻叫喚で満ち満ちており、ゾッとしてすぐにラインを閉じる。これはまずい、非常にまずい…担任である鬼教師の凄まじい形相が目に浮かんだ。このままだと放課後は特別補習コース。何日出席すれば良いのだろうか…一日?三日?それとも一週間?何日だろうと野球を取り上げられるなんて耐えられない。そわそわと部屋の中を歩き回りつつ、打開策その三、''要領の良い知り合いに課題を写させてもらう''の実行を決断するのにそう時間は掛からなかった。課題とやる気と諸々の何かをリュックに詰め込み、それから無意識のうちに擦れた野球のバッドを持って「ちょっと走ってくる」と家を出たのが夜9時の出来事。行き先は自分が知る限り最も''要領の良い知り合い''の家。ここまで来て人様の迷惑、なんて物を考えてしまったら負けだ。ドアの前に立つと焦りから普段よりもだいぶ足りない言葉を吐きながら、懇願の籠もった指先でインターホンを連打して。 )
…奏多奏多奏多っ!何かもうやばい。何がやばいってとにかくやばいから助けてくれ…!もう頼れんのお前しかいないんだよ!頼むから開けてくれ奏多っ!
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