黒い愛情

あの虫達が可愛いだなんてとんでも御座いませんよ。驚きで心臓が飛び出るかと…
（椅子にすんなり腰をかけつつ、不意を突くような相手の笑顔を見ると自然と頬を緩めて。然し、悪戯の咎を忘れてはならぬと自身を奮起し眉を顰め、ふるふると首を振って否定するも、ふと表情を曇らせる相手の様子に語尾を弱めて。色んな感情の入り混じった顔と、握られた衣服の袖。「八雲様…？」不思議そうな顔でそう疑問を返すも、何故かチクリと痛む心に居てもたっても居られなくなり、相手の手を両手で包み「どうされましたか？体調が優れないのですか？」と不安げな顔で首を傾げて）