お、八尋!やっと来たか。なに、毒も害もない可愛い奴らだったろ? (入室してきた相手の姿を見ると、嬉しそうに体を起こし。手元の本も適当なところに放ると、手近にあった椅子を相手に勧め。全く悪びれもせず、悪い虫ではないなどと宣うが、すぐにやはり母に使われていたのかと知ると、少し瞳を伏せ。「また、母上は俺の八尋を使ったのか……」とぽつりと言葉を零し。そっと相手の方に手をやると、着物の裾をぐっと掴み)