黒い愛情

（日当たりの良い縁側側の和室にて、取り込んだ柔らかな洗濯物を御手伝いさんと母君様と談笑しつつ畳み、和やかなひと時を過ごしていたのも束の間のこと。突然の着物の間より飛び出しざわざわと動く虫達の出現で、つんざく様な悲鳴と共に空気は騒がしく変貌して。自身も飛び上がり小さく悲鳴を上げ乍らも、すぐさま犯人を思い当てては勢い良く立ち上がりそのお方の部屋へと駆け出し、扉を数度ノックする。「幸永様、八雲です。失礼致します」言い終わるが早いか、扉を開いてはベッドの側迄足を進めて口を開く。）
幸永様、また悪戯をしでかしましたね…？母君様達は大変お怒りですよ！