旧家の子 2020-04-05 18:09:38 |
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嗚呼、楽しみにしてる。お前が選んでくれたらどんな毒花も美しくなりそうだ!
(頬染める相手が愛しくて仕方なく、頬に触れようかと手を伸ばしかけるも結局諦め。行き場を失った手で髪を弄りながら恥ずかしげも無く上記の言葉を相手にいつもと変わらぬ表情で楽しげに投げかけ。が、後ろのほうがなにやら騒がしいと思い見遣れば、女中たちが談笑のついでと言う風に自分を探しているのを見つけ。「八尋、奥に行こう。そこで俺に似合いそうな花を探してくれ」というと再び相手の手を取り立ち上がるが、突然立ったためか立ちくらみで再びしゃがみこんでしまい)
…え、っ…?幸永様っ!大丈夫ですか?
(楽しげな相手の誘いにパッと表情を明るくし頷くも、次の瞬間、立ち上がってはふらりとしゃがみ込む相手の姿に、驚きと不安の滲む声を漏らして尋ねて。何処か痛むのだろうか、苦しいのだろうかと瞬時に様々な考えが脳内を巡れば同時に自分の胸もチクリと傷む。先ずは容態を尋ねるべきだと考えればその場に腰を下ろし、「どうされましたか?女中をお呼びしましょうか?」と、震える手を相手の背中に添え、顔を覗き込んで)
いや、いい。女中は呼ぶな。
(不安そうに覗き込む相手の表情を見て、自身がますます情けなくなり。背中を支える手を振りほどくように立ち上がると、何時にも増して大きな笑顔を浮かべ。「ただの立ち眩みだ。早く華を探しに行こう」と相手に顔が見えないようずんずんと前を進んで行き。その実、自身の弱さを呪うように口はきつく噛み締め、うっすらと血が滲み。暫くすると美しい花の咲き乱れる庭に着き)
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