匿名さん 2020-03-29 00:14:35 |
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( 此処には貧乏ボロアパートらしくプライバシーやセキュリティの概念はない。立て付けが悪く取っ手がぐらついているドアは蹴破ればいとも容易く中に入れる事だろう。それでも空き巣や強盗と言った犯罪の被害が皆無なのは、住まい全体とその住民たちが発する異様な空気のお陰に他ならない。熱心な宗教勧誘の人間ですら訪問を躊躇う禍々しさを醸し出している此処はある意味最強の要塞と言える。そう、此処は安全で快適な自分の砦。誰にも自分の時間を邪魔することなど出来ない、筈だった。──カチャリ、いくら寝惚けていてもこの部屋では耳馴染みの無い音と共にドアが開いたのは直ぐに分かった。包まる布団越しに何者かが此方へと近づく気配が伝わる。こんな時間にお客なんか呼んでいない。敵襲、お礼参り、報復、物騒な言葉が次々と頭の中に浮かぶ。意識が朧げなままに反射的に枕の中に手を遣ると、手に収まる程の小振りは拳銃を持ち、慣れた手付きで安全装置を外し。自分が布団を払い除けて気配のする方向へと銃口を向けるのと、突如陽光が部屋全体に降り注ぎ、朝日を思わせる清々しい声が部屋に響き渡ったのはほぼ同時だった。)
……朝からなんっつー目覚めの悪いもん見せてくれてんだてめぇは。人の敷地に無断で入ったらいけませんって、ママに教わらなかったのか?
( 刺すような光に目を細めながら来訪者の顔を視認するなりぐにゃり、と文字通り苦虫を噛み潰したような表情を。大方お節介と言う名目で嫌がらせにでも来たのだろう。至福の時間を邪魔した不届き者をこのまま撃ち抜いてしまっても良かったのだが、短気は損気と昔の諺にもあった気がする。ベッドに腰掛けた状態のままいつも以上に乱れた髪の下から眠気が抜けきらない為にやや緩い眼光で相手をじっと睨み据えると、「 撃たれたくなかったらさっさと失せろ 」と言いたげな顔で銃口をドアの方へと指して。)
まぁな、例え時間がなくったって、俺に掛かればざっとこんなもんよ。つっても今回の返事は若干遅れちまったが…完璧過ぎても魅力に欠けるとも言うしな。この先の展開はあんたの提案で文句なし。今日は割と機嫌良いから、飲みは全部お前持ちなら行ってやらない事もねーかなぁ。はいよ、御用がありましたらなんなりと。
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