匿名さん 2020-03-29 00:14:35 |
通報 |
(目を覚ましたのは、相手のアラームが鳴り響くおよそ1時間前の事。昨夜の就寝時間は遅かったにも関わらず、普段通りの時間にベッドを出ると欠伸をしつつ洗面所に向かい、歯を磨きながら部屋のカーテンを開ければ暗かった部屋に日射しが差し込んで。生活感が薄くどこか無機質さも感じさせるこの部屋は、本部から程近い都心に建つ小綺麗なマンションの中層階。そこそこの値段のマンションだからこその特権だろうか、治安も良く部屋の中に居る限り他の住民の気配や生活を感じる事は殆ど無い。無機質な空間に一人身を沈められる、というのはこの上なく快適だった。顔を洗い身支度を整えた所で時計を見遣る。昨夜が遅かっただけあって、この時間で有れば相棒はまだ布団に包まっている頃だろう。時間もある事だし遊びに行こうか、なんて気が起きると引き出しから紙を留めるクリップを2つ取り出して。彼の住む部屋は鍵が古いため、レンチとクリップが2つも有れば勝手にドアを開けて入る事は可能。そうと決まれば、と颯爽と部屋を出て、エレベーターで遭遇した住民に、にこやかに「おはようございます」なんて会釈をしつつ、向かったのは相棒の家。相手の部屋に到着したのは午前9時を少し回った頃で、部屋の前にしゃがみ込むと鍵穴に道具を差し込んで。どう見ても不審なこの状況だが、生憎アパート内に人の気配は薄い。相手と同じくまだ眠り込んでいるか、既に家を空けている住民が多いのだろう。そうこうしている内に、カチャリ、という小気味の良い音と共に鍵が空いた感覚。立ち上がり躊躇なく部屋の扉を開ければ、薄暗い室内、その奥のベッドが丸く膨らんでいるのが薄らと確認出来た。相手の嫌そうな反応を思い悪戯な笑みを浮かべつつ部屋に上がると徐にカーテンを開き意気揚々と声を掛けて。)
──おはよう、喜一くん!良い朝だ、起きる時間だよ。
流石は喜一くん、仕事が早い。嬉しい誤算だね。2人で本部に向かってから今日の任務を言付けられて事前調査、という感じにしよう。夜は飲みに行くのも良いなぁ、なんて。また相談するよ。
トピック検索 |