弦 2020-03-28 01:52:50 |
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(「え、そうなの?遠夜サンめっちゃえらいじゃん」ぱちぱち、と目を瞬いてはその堅実で真面目な姿勢に密かに驚く。その様子を想像するとなんだか微笑ましく、いい子いい子と言いながら笑み半分に頭を撫でる。自嘲が滲んでいるのは何となく察せられたが、だからと言ってその姿勢を嘲ることに同意は出来ない。「え、俺…?うう…ん…まあ…あー、ホラ屋台とかコンテストやってたね…」質問が飛んで来ると、自身の学園祭の楽しかった記憶と、黒歴史としか呼びようの無い記憶とかない交ぜになって襲ってくる。正直なところこのまま忘れ去りたい記憶もままあるが、楽しかったことは事実なので「遠夜サンも今度一緒行く?」と首を傾けてみよう。「んー、これ」そういえば同棲したばかりだ、道順などもまだ不慣れであろうということを失念していた。納得はしているようだが、念のためスマホを開いて画像を見せる。「……事前に申し込んでたら良いの?」スッと目を細めたのは無論スイッチが入ったからだ。可愛い、という感想をまさか男相手に連呼する日が来ようとはまさか思いもしなかった。恨めしそうな顔すらもなんとなくゾクゾクしてしまうのだからもはや末期だと言えるだろう。「……遠夜サンこそ、不意打ちはズルいと思う……」そんな台詞と共に後頭部に手を回し、そのまま体重を掛けて)
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(明らかに、早起きしすぎてしまった。「遠足に浮かれる小学生かよ俺」ぽつりと零しながら相手を起こさないよう支度して、あまりまともな格好の無い手持ちの服からなんとか見栄えするものを取り繕う。「まあ…デニムジャケット着てればまともって風潮あるし…」もちろんそんな世論など存在しないが、黒いスキニーに白いシャツ、デニムジャケットならば雑踏の中浮きはしないだろうと決めつけて。そっと玄関を出れば朝の空は雲がひとつ二つあるだけの快晴である。徒歩で猫の像まで来てはその近くのベンチに腰掛け、ついでに仕事のメール確認でもするかとパソコン用の黒い眼鏡を掛けて)
いやうん…蹴れねーわ。体調良くなったんならホント良かった。マジで気を付けねえとヤバイもんな、今の時期。遠夜サンが倒れたら俺心配で屍化する。
あとあれ、別に毎日返信が義務とかじゃないからな?謝る必要もないからな?別に何日何週間何ヵ月空いたっていいよ、俺遠夜からの返信だったらずっと待ってる。蹴れねえわとか言ったけど、こっちは蹴って。
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