弦 2020-03-28 01:52:50 |
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(「うーん……、大学のときは、それどころじゃなかったからなあ。早く医師免許欲しくて、がむしゃらに勉強してた。そんなことをしても早くもらえるわけじゃないのにね」緩く頭を横に傾け記憶を辿る。10年以上前の話だ。印象的な出来事があれば憶えているのだろうが、大学時代は特に勉強に熱を入れていた所為で記憶が定かではない。焦ってどうする、と父親に怒られたことを思い出し自然と自嘲してしまう。「弦は?どんな学祭してたの?」自分ばかり質問責めに合うのはあまり好ましくないな、と言わんばかりの様子で自嘲から柔らかな笑みへと変われば頭を傾けたまま問い掛けて。「十時に駅前…猫…、あそこかな?」待ち合わせ、というものをあまりしたことがないということと、駅を利用し始めたのは彼の部屋に通い始めてからなので曖昧な記憶を辿りつつも象徴的なものを思い出せば一人納得し。頬へと触れる指先の心地良さに自然と目が細められ、彼の口から何度と聞かされる“可愛い”は、慣れなくて恥ずかしさが込み上げてきて頬が熱くなるのを感じ「急に可愛いとか言わないで。吃驚して恥ずかしくなる…」軽く触れ合うだけのキスは余計なことを全て振り払ってくれる。その事実が少し恨めしくて、八つ当たり半分で恨めしそうに見詰め返したがすぐに表情を綻ばせると「弦はカッコイイね」仕事を必死に頑張る姿も、こうして不安を抱きながらもデートに誘ってくれる姿も、全てが愛おしく自分からはとても格好いいと思える。その気持ちが全て伝わればいいのにと思いながら相手の首に腕を回し身を寄せ此方からも触れ合うだけのキスを返すことで受け入れる姿勢を示して)
返事が遅くなってごめん。医者が…とか言っておいて体調を崩しててすぐに返事を返せなかった。本当にごめんね。もう治ったから、大丈夫。こっちは蹴ってくれて大丈夫。
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