弦 2020-03-28 01:52:50 |
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(「学祭とかでありそうな感じだよな。懐かしいわー」凄い、凄いと称賛を繰り返す相手の様子が何だか微笑ましく思えて、同時に見逃してもらえた安堵に小さく笑んで。胸を撫で下ろすなんてことをすればバレてしまうから、代わりに一緒にパンフレットを覗き込む。「遠夜って高校とか大学の学祭どんな感じだった?」そしてちょっとだけ気になるのは過去のこと。歳の差だけは覆せないし、過去に戻ることも出来ない。以前見せてもらったアルバムの先が気になるのは、そんなどうしようもない事をせめて少しでも誤魔化そうとするからか。「マジで?じゃあお言葉に甘えよっかな、十時に駅前で待ち合わせでどう?」あそこ猫の像あるじゃん、その前で…と続けたが、たぶんその像の力に頼らなくても瞬時に見つかるだろう。何せこんなに目立つ相手だ。けれどやっぱり、こうやってあれこれと待ち合わせの場所を考えるのがいかにも"デート"という感じで楽しい。自分でも浮かれているのは分かっているが、本当に好きな人となのだから仕方がない。「…遠夜サンやっぱ可愛いよな」すっと伸ばした手が頬に伸びたのは半分無意識だったけれど、それを引っ込めることはしなかった。逸らされた視線も熱を持った視線も、一連の動作全てが愛しい。自分より大人で大きくて綺麗で、けれどそれを引っくるめて可愛いなんて思う相手が出来るとは思いもしなかった。一度唇と唇を重ねるだけのキスをしてから、お伺いを立てるようにじっと見て)
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