匿名の刑事 2020-03-25 19:54:27 |
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…お、現代っ子。慣れてるねー。
( 自分達がどうしようもない窮地に陥った時、幾度と無く彼女の勘の鋭さや機転、周りを引き付けるリーダーシップに助けられてきた。ゲームの参加者の中では年少者に当たる彼女にばかり負担を押し付けるのは無責任とも取られそうだが、実際機械があまり得意では無い自分が下手に触るよりかは今回も彼女に任せた方がきっと得策だろう。そうして彼女の手に渡った得体の知れないタブレットは部屋の扉と同じくパスワードによって自分達の侵入を拒んでいたが、彼女が先ほど見つけたと言う紙切れに目を走らせたかと思えば、それを基に淀み無く不可解な文字列を打ち込んでいき───ビンゴ。ロックはあっさりと解除され、画面にはこのゲームの情報がけばけばしい悪趣味な色彩によって表示される。やはり彼女に任せて正解だったらしい。「お手柄だよ、サラちゃん」ニヤリと口の端を持ち上げる。ここまでは比較的順調、むしろ問題はここから。横からタブレットを覗き込んで自分達の為すべき事を確認する。成る程、部屋に入った時から致死性のガスが流れ現在進行形で自分達の体を蝕んでおり、それから逃れるにはどうやら隣にいる彼女と''仲良し''になる他ない…と。自分の体を人質に取られた状態で仲良しこよし出来るとは到底思えないが、かと言って放っておけばメインゲームより前に死ぬのみ。思案げに画面に現れた赤いハートマークを指先でなぞっていると、突如として強い意志の篭るはっきりとした声が耳に入る。───''ハグ''、ハグ?「あー……」彼女を目に留めたままで言葉を濁らせる。恐らく彼女は此処から脱出する事しか考えていない。そしてその為にはこれが最善だと考えての提案なのだろう。それは理解しているのだが、生死の境目にも関わらず女子高生を前に倫理観や理性なんて言葉が浮かぶ自分は、彼女に比べるとまだまだ覚悟が足りないのだろう。)
…それはご存知じゃないかなー、ちょっとくっついたら解決って、そんな単純な話とは思えないし。…けど何もしないよりはマシ、か…オーケー分かった。じゃあサラちゃんが抱き締めてよ。おまわりさんから行くと、法律的にも絵面的にも色々とアウトだからねー。
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