ジェイド 2020-03-23 23:02:04 |
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(不思議な彼と邂逅し一晩過ぎた。柔らかなベットから起き上がり、垂れる横髪を耳に掛けつつ視線は吸い寄せられるように窓へ。説明通り、体感的には朝である筈の時間だが外は昨日と変わらず不気味なほど静かに月が輝いている。まるでこの屋敷だけが世界から切り離さ、時が止まっているかのように錯覚してしまうのも無理からぬこと。未だ混乱する思考を溜息とともに逃し、サイドテーブルに置いてあるデカンタから一杯水をグラスに汲み、口を潤す。戻したグラスの横には花瓶に生けられたジニアの花が一輪。単調な空間の中に鮮やかな色を添えており、目を楽しませる。「このまま枯らしてしまうには可哀想ね。折角だもの、ドライフラワーにでもして長く楽しみましょう」花を眺めるだけで心が豊かになるようだ。僅かに浮上した心のままに、花瓶からジニアの花を取り出して風当たりの良い場所に吊るす。約束通り彼が来てくれるなら、夕方ぐらいになるだろうか。常に月が浮かぶこの屋敷には不似合いな表現だろうが。どちらにせよ、彼が来るまでにはまだまだ時間がかかる。案内もなく人様の屋敷を出歩くのははしたない行為だが、少しでも現状を理解したい気持ちも確か。チラリとドアに目をやり、逡巡したのも束の間、そっと近寄りドアノブに手をあてがう。するりと抵抗もなく開かれた扉。顔を覗かせ外の様子を見てみると、左右に分かれて廊下が伸びている。動くものの気配は感じられず、思わず気後れしてしまうほど物静か。緊張から小さく喉を動かして唾を飲み込み、そろりと一歩を踏み出した。特に誰かが飛んできて注意などされる事もなさそうだ。一先ず第一関門突破、と胸を撫で下ろし。自分が出てきた扉の取手に髪を結ぶ為に持っていたリボンを目印がわりに括り付け、先ずは左曲がりで行ってみようと歩き出して)
此方こそとても楽しかったわ。
私の方もいきなりあんな事を話すつもりはなかったのだけど…不思議ね。気付いたら話してしまっていたわ。
次だけれど、そうね。私の性格からして部屋から出歩くなんてこの機会を逃したらそんな大胆な事しないだろうから、ジョネルさんとの約束までに大冒険してみることにしたの。
お相手はギレルモさんにお願いしようかしら。彼とは一度話してみたいと思っていたから、今から楽しみよ。
お心遣い感謝致します。お互い無理せずゆっくり楽しめたら本望だわ。
貴女方もご自愛くださいませね。
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