ジェイド 2020-03-23 23:02:04 |
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……どったの?やっぱしんどい?
(火傷必至の挨拶には冷ややかな視線を送られることを覚悟していたが、一瞬垣間見えた複雑な表情を見る限りかなり無理をさせてしまったのだろうか。貴女の抱える事情には未だ触れる余地もなく心配そうにひゅんと眉尻を下げて、上体を起こす動作に対して慌ててブンブンと両腕を振り「 いいっていいって!そこに居た方が楽でしょ。君みたいな華奢でキレイな子が無理してんの、俺ダメなんだよ 」わーわーと大袈裟にジェスチャーした後、何故か自分の方が苦虫を噛み潰したような痛々しい表情を浮かべてかぶりを振り。「 妖精かあ。そんな可愛らしいものだったら良かったのかなあ 」答えを求めない問いは空に舞い、一見すれば嫋やかで余裕のある微笑みに言い知れぬ引っ掛かりを感じてぴたりと体の動きを停止させ、差し出された手を握るのも忘れたまま何かを考えこむようにじぃっと貴女の顔を見つめて「 君を見てるとさ、何でかなぁほら…頑張れー!じゃなくて、もういいよ頑張ったよ!って思えちゃうんだよなあ。何でなんだろ 」その感情の根拠は自分でも言い表せないが、確固たる証拠のない漠然とした違和感を敏く感じ取った死神は難しい表情で首を傾げて。しかし真相に独力で辿り着けないのは火を見るよりも明らかで、ならば常人の持たない極上の記憶を宿す可能性の高い貴女には怪物としての興味が高ぶるばかりで、その手始めとして「 そうだ。君のことはなんて呼んだらいいの? 」こちらから話を、と誘っておいて最初に問い掛ける格好となりながらようやく小さな手を柔く握り「 うっわ冷た!! 」白黒ちぐはぐな双眸を零れんばかりに見開いて「 まるで先輩と握手してるみたいだ。人間の女の子は冷え性多いよねー 」氷のように冷え切った手は体温を持たない同類の存在を思い起こさせ、まさかそれが恐怖からくるものとは思わず呑気に世間話のように感想を吐き。そっと放した手を振ればカラスの姿をした使い魔がどこからかすぐに現れ、魔物の言語で何かを命じたかと思えばすぐに慌ただしく羽ばたきを始め――数秒後には暖かいティーセットがすぐにふわふわと宙を舞いながら用意されていき「 そんなに冷えてるんじゃ水よりもあったかいお茶のがいいよ。知りたい事には全部応えるからさ、まずは身体を暖めなきゃね 」この不気味な屋敷に似合いようもないポップなマイペースを存分に発揮しながら、テーブルに頬杖をついて人好きのする笑みを湛えて)
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