ジェイド 2020-03-23 23:02:04 |
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下げ忘れは前に僕もしちゃったからね、お互い様ってことで!
此方こそ、そんな素敵な話を僕にしてくれてありがとうっ!大人になるのが今から楽しみだよ。
なるほど、そうだったんだね!なら次回は是非ギレルモさんとお話しさせてもらおうかなっ。
色々と不安定な子だから、途中で絡みにくいとかってなったら遠慮なく教えておくれよ!
とくにこれに対してお返事は大丈夫だからね。また何かあれば声を掛けておくれ。
***
(ゆっくりと開く扉は緊張感からか、まるでスローモーションのよう。ピンと張った空気を打ち消す様に場違いなまでの陽気な声音が奏でるのは冗句混じりの挨拶で、知らず寄っていた眉間の皺も開くというもの。目の前でコロコロと変わる表情も、楽しげに回る口も、軽やかな仕草さえ、遠い記憶の中にある姉と重なってしまったのは何故か。あの奇妙な招待状が起こしたある種の喜劇とでも言おうか。くっ、様々な感情が綯い交ぜとなり、泣き笑いの表情は面を下げることで隠し、一呼吸置いたあと、己もソファへ座るべく身を起こす。「ジョネルさん、と仰るのね。お気遣い有難う。後でいただくわ」サイドテーブルに置かれたグラスとデカンタにチラリと視線送り、感謝の意を示すものの、やはりと言うべきか、先程の口渇感は失せ、けむるような睫毛を瞳にかぶすと遠回しの謝罪を示す。膝の上に揃えて置いた手の先はまるで冷水に浸した様に冷たく、気丈に振る舞う態度とは裏腹に身体は正直に恐怖を現す。「……私、自分の部屋に居たはずなの。それなのに目が覚めたら知らない場所で…目の前には今まで会ったことない様な貴方がいるでしょう?まるで魔法のよう。それか妖精にでも化かされたのかしら?」ふふ、と緩やかに口角を持ち上げ、さも楽しげに話してみせる傍ら、臆病な本来の自分は情けなくも姉の亡霊の影に隠れ込んでしまっている。あの時の悲劇はそれも誘因の一つであった筈なのに、所詮成長はしないのだ。明らかに人間でない彼に豪胆にも片手を差し向け「もちろん、歓迎するわ。貴方のお話を聞かせてちょうだい」と話の続きを促しながら、未だあの日から抜け出せぬ弱き己を胸中で詰って)
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