ジェイド 2020-03-23 23:02:04 |
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ああ……良かった。ごめんなさいね、もしこれを伝えて少しでも気に障ってしまったらどうしようってずっと不安だったから。貴方が理解してくれて嬉しいわ。勿論、この先何があるかは分からないけれど――きっと、いいえ絶対に、ジェイドの心の空白を埋められるのはルシアン、貴方だけだって信じているわ。
その時が来たら、是非私ではなくジェイドと誓いを立ててあげてね。――――ルシアン、本当にありがとう。
さて!裏話はこのくらいにして、また新しいグランギニョルを始めましょうか。
そうね、特殊キャラへの配慮をありがとう。ミゲルは人を避ける性質上 初回の案内役は荷が重いのだけれど、お望みであればギレルモは初回でお迎えに上がらせることが出来るわ。貴方たちだけの特別、だけれど…うふふ。ごめんなさい、言葉が足りなかったわね。
とはいえ貴方の言う通り、やっぱり初回はフレンドリーな子の方が良いかもしれないわね。一度ジョネルにお迎えに上がらせるけれど、もしギレルモの方が良ければ遠慮なく言って頂戴ね。
***
ジョネル:
(揺らめくコートの裾を椅子の縁から漂わせながら猫背気味に机へ齧りついているのは、毎夜恒例の日記をしたためている為で。記憶を刈り取る死神のくせに自分の記憶が不規則に欠落してゆく、先天的な欠陥を抱えた死神。わずかでも記憶を繋ぎ留めんと彼が必死に悪あがきしている最中には原則として誰も干渉しないのが暗黙の了解だが、珍しくカラスの使い魔が机に降り立ちカァと鳴き。ガリガリと狂気的なまでにペンを走らせる音がピタリと止んだのは、執筆を邪魔されたからではなく新しい獲物が来たと耳寄りな情報が入ったからで。「 新入りかー…ずいぶん久々な気がするじゃんね。他のやつらに獲られる前に挨拶しに行かなきゃ 」立ち上がった勢いで椅子が後ろにガガガと後退し、その音に驚いたように使い魔は飛び去って。踵を返すこともなく、その場で窓から差し込む月光に透けるように消失し一瞬にして貴女の部屋の前に現れ、記憶への飢えを埋められるやもという期待を込めてノックの返事を待ち。数秒後に返ってきた可憐な少女の声に高揚感を覚え、尻すぼみな言葉が恐怖に塗り替わったのを経験則で感じ取ればそのままゆっくりと扉を開け「 ちーす、メアリーでぇす。……流石に無理あるか。 」精一杯かわい子ぶった声と共に両拳を顎に添えて寒気のするウインクまで添えつつ一歩部屋へ立ち入ったが、一拍の沈黙を置いて普段のトーンで自嘲気味に呟きながらガリガリと後頭部を掻いて。ふっと息を吐き気を取り直せば困った様な笑みと共に顔の前で両手を合わせ「 メンゴ。君の緊張が和らげばって思ったんだけど、余計混乱させちゃったよね。 」語り口調からかなりポップな謝罪にはなったが謝意は心の底から伝え「 俺はジョネル、ここの住人。君が一人で心細くしてるかなーって思ったら居ても立っても居らんなくてさ。今夜教えてあげられる事はいっぱいあるし、少しの間だけここに居させてくんない? 」拒否されればすぐに踵を返す覚悟をしながら、それまでは貴女と関わろうと人好きのする雰囲気でお願いを形を借り、長い髪に女性らしい風貌の貴女はまるでお姫様の様だと素直な感想は胸に仕舞い「 しんどかったらベッドの上に居ていーよ。俺も絶対ベッドには触らないって約束するしさ 」手慣れた様子で部屋の中の簡易キッチンから冷たい水の入ったデカンタを取り出し、ベッドから手を伸ばせば届く位置のサイドテーブルに水で満たされたグラスとデカンタを置いて「 気が向いたらどーぞ。 」と目を細めて人懐こく笑って。どう見ても不自然な黒煙のようなコートをたなびかせ、光彩と白目が反転した不気味な双眸には自分から言及することなく、ベッドの対面に位置する一人掛けのソファに腰を下ろし)
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