裏稼業のお兄さん 2020-03-23 22:38:12 |
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一週間くらい空けるか思いましたけども、思うてたより普通に来れましたわ。お騒がせして堪忍な。いや気ィ合うね君…ボクもおんなじこと思ててん。( わたつく様子見、愉快そうに目細め )長くなるのんを嫌やとは思わへんしむしろボクも返すたび伸び伸びになる方ですンで…乗れば乗るだけびよよよ~んてなってまうから、お互い好きに返事して好きに返すンを大事にゆる~くやっていきましょ!ほんじゃひとまず仕事さしてもらうけど、ボクが回してんのンは所謂嫌われ文の部類やと思うし、嫌いやった場合なるたけ控えますんで言うてね。あと初回なんやものっそい長くなってまったンはほんまごめん。
こっちは蹴ってもろても構へんから、なんかあったら適宜お気軽~に声掛けたって!ボクもなんかあったらすぐご相談が~て伺わしてもらいます。
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…あらァ?こんな時間にこの通りは危ないで君、世の中物騒なんやから。
( 既に日は落ち夜へと差し掛かる頃、数刻前鮮やかだった面影が薄れつつある空は地平線に近づくにつれより深く、より濃く、黒がじんわりとその存在を主張しており、連なる建物の隙間から覗くその黒はもう少し時を刻めば容易く建物を飲み込んでしまいそうな気配を匂わせる。そんな夜の気配を吹き飛ばすが如く街灯が煌々とついているのは“オレンジ通り”の名を冠する大通り。荒んだこの世界では珍しい裕福な家庭が軒を連ねるこの通りだが、一本先に入った狭い路地には既に人の気配はなく、頻発する“行方知れず”はこんな閑散とした静けさの中生まれるのかもしれないと想起させるほどにしんと静寂を保っている。この静かな路地にて現在音を立てているのはひょろりと背丈の長い黒い男と、その横にいるぼんやりと虚ろな表情をした未就学児と思しき少年の二者のみ。にこやかに傍らの存在へ一方的に話しかける男と成されるがまま男を見上げる小さな子どもとはどこをとっても対象的な奇妙な組み合わせではあるが、男の明るい表情が奇妙さを緩和させているのか、二者の間には穏やかな時間が流れているようにも見える。もっともそれは男の話す内容を聞きさえしなければ、の話だが。 “ ──せやから、君はボクん家に来るとええわ。君はお顔の配置がええから──の顧客にも気に入ってもらえるで。ふかふかのベッドと楽し──ってんねんから、お兄さんと行こか。” しっかり耳を澄ませばそんな不穏な会話が聞こえてくるだろうか。全身黒い彼──“調達屋”が、そこまで話すや口を閉じて傍らの少年の手を取った、ちょうどその時である。彼の背後から鳴ったのは小さな物音で。自身の話し声以外はしんと静まり返った場へ訪れた急な違和の先へ調達屋が鋭く視線飛ばせば、視界に入ったのは走れば掴めそうな距離にいる、物音の主と思しき育ちの良さそうな少年。赤みがかった焦げ茶の髪に幼さを残した面立ちの来訪者を瞳に映すと同時に彼の頭を過ぎったのは警戒と確認の四文字であり、瞬時ににんまり人の良さそうな笑みを色眼鏡越しに浮かべ直せば、口ぶりはできる限り朗らかに新たな来訪者へ声を掛けよう。 )
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