司書 2020-03-22 13:34:22 |
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>>1232 ノア
――今のはお前が誘ったんだと思ったんだが。お気に召さなかったか?
(大人の余裕とやらを見せつけてきた司書に対して、子ども扱いされた獅子は、より一層楽しむように身を乗り出し、手をヒラヒラと翳してご機嫌取りのように少しだけ上目遣いで見つめ。渡されたフォークの先に乗るケーキの一口。丁寧に切り取られたその断面は断層のようにクリームとスポンジが重なり合い確かによくできている──わざとらしく大きめに開け、口にする。フォークから口を離すと唇に僅かについたクリームを赤い舌がペロリと舐め取った。グラサージュされたくどいくらいねっとりしたチョコレートと芳醇なカカオの香りがするクリームに、自分には甘いなと彼女のとびきりの笑顔と共に思う。彼女のわざとらしい笑みの真意を探るかのように緑色の瞳を細める。傍から見ればイチャついて微笑みあうカップルにでも見えるだろう──そんな様子が周囲の視線を引きつけ、うら若き女性たちの話のネタに既になっている。小声で囁かれる「素敵ね」「羨ましい」など月並みな戯言に阻まれぬように司書の方へと丸い耳を向けて。乙女たちの期待とは裏腹に鉄壁の彼女は可愛らしい表情とは別に未だに自分がとった行動の数々にご立腹なのだろう。かと言って謝ってやる気も省みる気も毛頭ない。子猫のように動き回る彼女はそれはそれで愛らしいのだから、背伸びなんかしなくても良い……そのまま軽く笑ってみせるも、視線は真っ直ぐ司書を捉えたままで)
子どもだと思って線引きしたいだけだろ。そんなに俺はお前にとって良い男って訳だ。
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