司書 2020-03-22 13:34:22 |
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>>1210 ノア
そりゃ、頼もしいな。
(彼女の焦げ茶の目が左から右へと繰り返し動くのをただ黙って見つめていた。やがて彼女が顔をもう一度上げた瞬間、ほんの少しだけ目を細めて満足げに笑う。メモを再び拾い、ポケットに適当に突っ込めば、まるで内緒話をしているようにテーブルに軽く頬杖をついて視線を合わせる。次から次へと行きたい場所を、望みを言う彼女の目は、光を反射しないあの暗い目ではない。きっとこんなに楽しそうに喋っている姿を見るのは、限られた人物なのだろう――存外悪い気はしない。自分の故郷を挙げながら、こちらを期待するような目で見つめてくる彼女に冗談めかして肩をすくめるが、透き通るようなエメラルドグリーンの奥に彼女の夢が映り込み光る。学園とは打って変わり高層ビルが立ち並び、その周りを自然が囲むあの国を、鳥籠で一生を過ごすつもりだった彼女がどう見るのか、少し楽しみでもあった。少し思い返すように視線を逸らしてから、自分でも珍しいと思うほど真面目な調子で話してしまったことに、わざと軽い調子で笑って)
写真や資料も必要不可欠だが、実際に足を踏み入れた方が面白いもんだ。ローカルな文化なんかは記録に残らないことが多い。特に古い価値観を持ち続ける国民が多いところは。――乾いた風の匂い、昼夜で変わる空の色……何が一番驚くか、レディが気に入るかは、行ってみてからのお楽しみだな。
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