菅家の文章生 2020-03-04 16:59:45 |
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(暦が示すは弥生。吹く風は過ぎ去った冬の冷たさを未だ纏いながらも陽光は暖かく地を照らし、木に蓄えられた蕾が次々とその顔を覗かせては見る者に春の訪れを告げていた。そんな華やいだ空気からは完全に隔絶された場所、菅原邸の書倉には燭台に立てられた一筋の温もりを頼りに寝食を忘れ書に没頭する影がひとつ。──時折無性に書物に溺れたくなるのは、どうしようもない自分の性と言う物で。それを『勉強熱心』等と形容すれば聞こえは良いが、度が過ぎれば周囲に無用の心配を掛けてしまうと言う事も理解はしていた。だから切りの良い所で引き揚げるつもりではいた物の、どれほど知識を貪ろうとも根底にある渇きが止む事は無く。取り憑かれたかのように項を捲ること数刻、いや数日だろうか。この書を納める為に作られた空間に於いては如何ほどの時が過ぎたのかは見当もつかない。いっそ腹の虫でも鳴けば丁度良い合図になろうものを、生憎と自分の身体は一度何かに熱中すれば他の物事は受け付けなくなってしまうらしく空腹が湧き上がる気配も無い。屋敷の者達も自分のこの奇行にはとっくに慣れているだろうと終いに開き直ってしまえば、己が知的好奇心の向くままに新たに書を手に取り、広げ。そうした行動の積み重ねの結果、周りには読んでいる書物、読み終わった書物、そしてこれから読もうとしている書物とが入り乱れ、自分の周りを取り囲む小さな塀を形作るにまで至っていた。)
…好きなようにと言われたので、自由に綴ってみましたがどうでしょうか。文量の増減はどうとでもなりますから、それよりも文体や雰囲気を見て問題が無ければ返答を綴る形で…駄目だと思ったなら正直に言ってくださいね。白梅は私が相手だと気を遣って隠してしまいそうですから。(じっ、)
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